研究課題/領域番号 |
21K00511
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
古川 敏明 早稲田大学, 社会科学総合学術院, 教授 (90609372)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | ハワイ語 |
研究実績の概要 |
危機言語の記述研究は,言語理論への寄与とともに,言語共同体への支援を目指し,言語学において重要度の高い仕事である.これまでに文法書,辞書,物語などのテクスト集が編まれてきた.一方で,記述研究は言語データが話者間の相互行為で産出されるという視点が弱い.本研究の目的は,危機言語の記述研究に相互行為の視点を導入すること,マスメディア(ラジオとSNS)という非伝統的な制度的場面におけるやり取りを相互行為として分析することの2点である.こうしたアプローチにより,従来の記述研究を補完・深化させる. 本研究では,ハワイ語の世代間継承とメディア利用の実態を従来と異なる方法で明らかにするため,3つの観点からデータ収集・分析を行っている.まず,ハワイ語ラジオ番組KLH の第2期のデータベース構築を優先的に進め,相互行為の分析を行っている.時には第1期のデータと比較しながら,第2期の主たる参加者である第二言語話者同士の会話の特徴とアイデンティティー構築に関する分析を蓄積している. 次に,コロナ禍で急速に進んだオンライン・イベントにおける相互行為データを収集している.具体的には,FacebookやZoomを利用して配信されるウェビナー,アイ・コレにおけるやりとりを対象に,第二言語のハワイ語使用者としてのアイデンティティー構築を軸に分析している.アイ・コレは2020年5月から毎週配信され,ホストと複数のゲストがハワイ語で多様なトピックについて語り合う.番組構成は上述のラジオ番組の系譜に連なる.サンプルとなる放送回を選択して,マルチモーダル分析を行い,ラジオ番組の相互行為との予備的な比較を試みた. 最後に,ラジオやSNS配信番組といったメディア利用がハワイ語の世代間継承という目標とどのように結びついているのか明らかにするため,ハワイ州在住のハワイ先住民たちを対象とした予備的な聞き取り調査を実施した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ハワイ語ラジオ番組KLHの第1期,第2期のデータベース構築(文字起こし)を継続し,論文を執筆した.また,コロナ禍で始まったウェビナーを新データとして文字起こしして分析し,これについても論文を執筆した.最後に,ハワイ州在住のハワイ先住民複数名にラジオ番組やSNS使用について予備的な調査を実施した.以上3つの目的に沿って研究を進めることができているため,評価(2)が適当である.
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今後の研究の推進方策 |
ハワイ語ラジオ番組KLHの第1期,第2期のデータベース構築(文字起こし)を計画通り継続し,論文の投稿準備を進める.また,新データであるウェビナーにおけるやりとりの文字起こしと分析も計画通り継続する.最後に,本研究を基研究とする国際共同研究強化(A)により現地滞在が可能となっている間に,ハワイ州在住のハワイ先住民にラジオ番組やSNS使用について予備的な聞き取り調査を継続することに加え,Zoomを利用してメインランド在住のハワイ先住民とネットワークを構築し,予備的な聞き取り調査を実施する.
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次年度使用額が生じた理由 |
ラジオ番組の文字起こしの作業自体は継続中であるが,研究協力者が多忙なため,1件分が仕上がるまでに時間を要しているため,謝金の支払いが多く発生しなかった.
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