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2022 年度 実施状況報告書

総記化の理論と応用

研究課題

研究課題/領域番号 21K00513
研究機関立命館大学

研究代表者

藏藤 健雄  立命館大学, 法学部, 教授 (60305175)

研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2025-03-31
キーワード形式意味論 / 焦点 / 複数述語 / 可算述語 / 不可算述語
研究実績の概要

本研究は総記化 (exhaustification) とよばれる操作の理論的位置付けを明確にすることを目的としている。総記化はonly, even, also等の焦点化子を含む文の解釈や含意の導出に用いられる。例えば,Only Andy came. では,元命題 John came. が真であることが前提であり,No one but John came. が主張となる。この主張を得るため,{Andy came, Billy came, Cindy came, Debbie came, …}のような代替集合が形成され,元命題以外が排除される。この操作が総記化である。
本プロジェクトは,総記化を用いて例外詞 but を含む文の意味論構築からスタートしたが,「集まる」のような複数述語 (plural predicate) の場合に,より興味深い問題が生じることを発見した。例えば,「岸田総理だけが集まらなかった」は容認可能であるが,この文の元命題「*岸田総理が集まった」はかなり不自然である。同様のことは他の焦点化子でも観察される(例:岸田総理も/さえ集まった)。
22年度は,このような振る舞いを示す複数述語の分類について研究をおこなった。「集まる」の他にも「1列になる」「合唱する」等は単数主語でも焦点化子を伴えば容認可能となる(「??Aが一列になった」「(BとCとDが一列になった。)Aも一列になった。」一方,「よいチームだ」「(人間ピラミッドを作って)天井の電球を交換した」では,同様のことは生じない。これらの2タイプの複数述語は Jeremy Kuhn (2020 Natural Language Semantics) が提案している「述語の可算/不可算性」という概念で特徴付けられそうであることがわかった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

遅くとも2023年の春に開催される学会で発表できるよう研究をすすめる予定であったが,焦点化子による総記化と述語の可算/不可算性の理論的関連付が十分でないため春の学会への応募を見送った。夏季休暇終了までにこの点を精緻化し,秋/冬の学会に投稿する予定である。

今後の研究の推進方策

焦点化子による総記化と述語の可算/不可算性の関係を形式化する。現時点での仮説は,不可算述語の場合,元命題を,例えば,「{b, c, d が集まる/1列になる}というイベントに a が参加する」と読み替え,代替集合とこの元命題の関係を見ることで,適切な真理条件を導けると考えている。
夏季休暇終了までに論文としてまとめ,学会発表応募とともに,ジャーナル投稿の準備をすすめる。遂行上問題が生じた場合には学会/研究会のメンバーにコメントを求めることを考えている。

次年度使用額が生じた理由

本研究申請当初に参加を計画していた国内外の学会が,おもに感染症対策の影響で,対面で開催されなかったり,もしくは,参加が困難であったため,予定通り予算執行ができなかった。
次年度は国内学会も対面にもどることが予想されるので,主に旅費として使用する予定である。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2023

すべて 学会発表 (1件) (うち招待講演 1件)

  • [学会発表] On the "scope" of partially controlled PRO2023

    • 著者名/発表者名
      Takeo Kurafuji
    • 学会等名
      科学研究費補助金ワークショップ(代表: 今仁生美 名古屋学院大学)
    • 招待講演

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公開日: 2023-12-25  

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