研究課題/領域番号 |
21K00516
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研究機関 | 沖縄国際大学 |
研究代表者 |
西岡 敏 沖縄国際大学, 地域文化研究科, 教授 (30389613)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 琉球語 / 危機言語 / 沖縄語 / 宮古語 / 言語作品 / 民話劇 / 鬼慶良間 / 民間文芸 |
研究実績の概要 |
琉球列島における6つある危機言語(琉球諸語)のうち、2023(令和5)年度では宮古語と沖縄語による文芸について記録と再生への道筋を付けることができた。 宮古地域では、4月に宮古を訪れ、当地の研究者と面会し、臨地調査を行った。また、2023年9月に奄美沖縄民間文芸学会宮古島大会において研究者実演を行う予定であったが、台風のために延期となり、2024年2月に当初予定していた研究者実演を行った。研究者実演とは、研究代表者が研究協力者の監修によって現地語に翻訳していただいた民話の再話テキスト(言語作品)を実際に朗読して、関係各位に披露するものである。その際、宮古民謡の演者(歌い手)にも参加してもらい、宮古語による民話朗読と関連する民謡歌唱とのコラボレーションによって、新たな歌物語を舞台文芸として生成しようとする試みであった。 沖縄地域では、既成の言語作品の整理を行うと同時に、沖縄伝承話資料センターの協力のもと、沖縄地域における民話のテキストを数編、沖縄語に再話・翻訳することができた。中でも、民話劇「鬼慶良間」(全三場)の脚本の沖縄語への翻訳は、音韻的に配慮されたカタカナ表記による正確な記録が行われただけではなく、沖縄語のネイティブスピーカーたちによるモデル的な録音も行われた。渡嘉敷島を舞台にした民話劇「鬼慶良間」は、沖縄国際大学総合文化学部日本文化学科1年次において日本語版が毎年演じられているが、ここに沖縄語版の脚本が加わることになり、実演の選択肢が増えることとなった。沖縄に根差した文芸の内容はもちろんのこと、危機言語の再活性化の一環としてもアピールできるものとなっている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2023年11月に一人暮らしの郷里の父親が大怪我により急遽入院したため、数か月間、その対応(郷里との往復)に追われた。
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今後の研究の推進方策 |
琉球列島における6つの危機言語のうち、これまでは宮古語と沖縄語について一定の成果が得られた。これら地域語における文芸の再話をさらに進めていくが、他地域の言語についても何らかのアプローチを行う必要がある。このうち、八重山語については、2024年度も沖縄伝承話資料センターの協力のもと、具体的な成果が得られる可能性がある。また、既成の言語作品の収集・記録・分析も引き続き行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
父が大怪我で急遽入院したため対応に追われ、その分の研究の余裕がなかった。 次年度は、八重山語・沖縄語を中心に、言語の記録と再生への活動を行う。
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