研究課題
本研究計画は、タガログ語の 6 つの談話小辞 (e、o、a、ha、ano、diba) を取り上げ、これらが (a) どのような機能を持ち、(b) どのような音調と結びつ き、(c) どのような分布・共起関係を持つのかを明らかにする。研究方法として、(i) 大規模ウェブコーパス、(ii) 自然会話コーパス、(iii) 聞き取り調査の 3 種のデータの分析を採用し、総合的かつ多角的に分析することで記述的にも理論的にも意味のある分析を目指す。2022年度はデータ分析に費やした 1 年であった。Sketch Engine などの大規模コーパスだけでなく、自分で構築した会話コーパスを利用してデータを収集し、研究補助者とともにデータのアノテーションを継続した。同時に、談話標識に関する理論的・通言語的研究も行った。主な成果としては、タガログ語の談話小辞を概観し、特に e について分析した Discourse particles in Tagalog: The case of e をまとめて論文集に最終版を送った。さらに、タガログ語の Twitter コーパスを利用して、sana all 「だったらいいのになぁ; うらやましい」の研究を行い学会で発表を行い、同じくコーパスを利用して談話小辞とも関係があるヴォイスの問題や移動表現についての研究を行い、その成果を The 14th conference of the Association for Linguistic Typology および Neglected Aspects of Motion-Event Description 2022 などの国際学会で発表した。さらに、これまでの研究に基づく基調講演を The second Salindunong: An international conference on language and literature で行った。
2: おおむね順調に進展している
準備段階の 1 年であったが、Sketch Engine などの大規模コーパスだけでなく、自分で構築した会話コーパスを利用してデータを収集し、研究補助者とともにデータのアノテーションを継続した。同時に、談話標識に関する理論的・通言語的研究も行った。論文として出版された成果こそ少ないものの、3年目4年目の成果発表に必要な基礎的な作業を行うことができた。おおむね順調に進展している。
2023年度はこれまでの研究成果を論文として発表することに集中する。
本研究計画ではフィールド調査を研究の主軸とし、国際学会で発表することでフィードバックを得ることを目標の一つにしている。しかし、2022年度は新型コロ ナウイルス感染症のためにフィリピン共和国に行くことはできなかった。このため次年度使用額が生じた。2023年度は海外渡航が可能そうな趨勢であ るため、次年度使用額についてはフィールド調査ならびに国際学会のために使用する予定である。
すべて 2023 2022 その他
すべて 国際共同研究 (2件) 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (6件) (うち国際学会 4件、 招待講演 2件) 図書 (1件) 学会・シンポジウム開催 (1件)
Katipunan
巻: 10 ページ: 56~63
Journal of Japanese Linguistics
巻: 38 ページ: 279~281
10.1515/jjl-2022-2061