研究課題/領域番号 |
21K00523
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研究機関 | 東京外国語大学 |
研究代表者 |
南 潤珍 東京外国語大学, 大学院総合国際学研究院, 教授 (30316830)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 現代韓国語 / 小説コーパス / 言語変化 / 文法化 / 語彙使用 |
研究実績の概要 |
2022年度には以下の作業を行った。 ①2021年度に続き、20世紀韓国語の小説コーパスの整備を行った。2021年度には小説テクストの原文を集め、165名の作家の1109作品に対し、小説家の言語環境・作品の発表状況などと紐づける作業が中心になったが、2022年度には、よりテクスト内部の構造に踏み入った整備作業を行った。すなわち、小説コーパスの各テクストに対し、地の文と会話文を分離する作業を進め、現在、約82%に当たる906作品の処理を済ませている。この作業は2023年度の前半に完了する予定である。 ②20世紀韓国語の変化及びコーパス分析方法に関する先行研究の調査を行い、a.漢語の使用、b.主動文と受動文の使用頻度、c.文法的コロケーションと言われる文末の複合表現の使用に関する先行研究をまとめた。本来は2021年度に行う予定であったが、資料の収集および整理に予想以上の時間がかかったため、2022年度まで延長することとなった。この作業の完了で、①の作業が完了したら20世紀小説の変化を眺望する分析の枠組みが出来上がることになる。 ③参照コーパスとサブコーパスの比較に基づく核心クラスター分析、核心カテゴリー分析についての先行研究に基づき、小説に現れる作家属性と社会の変化の要因を考察するため、各小説テクストの量的側面の調査を実施した。この作業は①の作業が進行中であるため、2023年度にも続けて行う予定である。 ④小説コーパス全体の変化を概観するために、言語使用の推移を10年ごとに分けて②の結果として選定された言語項目の使用頻度の調査を昨年度に続けて行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
韓国の文献の収集、資料の1次調査を行うことができなかった。そのため、韓国の出版・放送・教育および作家の成長過程や言語形成過程に関する1次資料の調査が計画より遅れている。 そして小説の地の分と会話文の分離・分析作業に予想より時間がかかったため、資料の量的分析のまとめが完了できておらず、研究成果の発表ができていない。 これらの点から、当初計画より少し遅れていると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、以下のように研究を進める予定である。 ① 2022年度までに完了できていないコーパスの整備作業を完了する。 ② 小説コーパス全体の変化を概観するために、言語使用の推移を10年ごとに分けて、選定された言語項目の使用頻度を調査する。 ③調査項目別にそれぞれまとめて学会で発表し、フィードバックをもらう。現在計画している発表項目は、①人称代名詞の使用における作者の人的要素(性別・出生年)②作品の年代に見られる語彙使用の特徴:漢語と固有語及び外来語③文法的コロケーションの使用の推移④地の分と会話文における文の長さの変化⑤否定文使用の推移の5点である。 これらの成果発表をまとめて、20世紀の小説に見る言語変化を記述し、一般言語学における言語変化の議論に照らした考察をする。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍による海外渡航の制約があり、また海外の学会の多くがオンラインで実施されるなど、計上していた旅費の支出がなかったため、次年度使用額が生じた。2023年度には、以下のような使用計画に基づき、研究を行う。 ① 調査及び研究成果発表のための海外渡航を2回以上実施する(40%)。② 昨年度の後続作業である、資料整理作業を行い、謝金を支出する(40%)。③ プリンターカートリッジなどパソコン関連の消耗品・機器の購入(10%) ④学会参加費・ソフトウェア購入費などその他諸費用(10%)
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