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2022 年度 実施状況報告書

多言語実践共同体の相互作用秩序の交渉と変容

研究課題

研究課題/領域番号 21K00531
研究機関青山学院大学

研究代表者

猿橋 順子  青山学院大学, 国際政治経済学部, 教授 (10407695)

研究分担者 飯野 公一  早稲田大学, 国際学術院, 教授 (50296399)
豊島 昇  共立女子短期大学, その他部局等, 教授 (90821926)
木村 大輔  早稲田大学, 教育・総合科学学術院, 准教授 (00825523)
岡部 大祐  順天堂大学, 国際教養学部, 講師 (90828261)
研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2024-03-31
キーワード多言語 / 公共空間 / 国フェス / エスノグラフィ / タイ / トランスナショナリズム / 国際交流 / ポストコロナ
研究実績の概要

本年度は、タイフェスティバル大阪(6月5日、湊町リバープレイス(なんばハッチ)にて開催)、バンコク日本博(9月2日~4日、サイアムパラゴン・ロイヤルパラゴンホールにて開催)において実地調査を行った。2022年の秋頃から、徐々に対面開催が再開されはじめたが、規模の縮小やオンラインプラットフォームの拡張に伴い、コロナ禍以前とは異なる取り組みが認められた。情報収集は、2023年度に行う実地調査の計画および準備のためにも断続的に行っている。
また、2021年度に実施されたオンラインのタイフェスティバル大阪のデータに基づき、研究会議をオンラインで開催し、分析と考察を深めた。言語選択とシンボリックな言語提示について、メイン画面(ステージ)とコメント欄(視聴者による書き込み)に分けて分析した。メイン画面では、プログラムの趣旨や、メッセージが誰に向けられているかに応じて、タイ語・日本語・英語を組み合わせて提示する方略が数通り認められた。コメント欄では、前述の三言語にとどまらない数多くの言語と文字による投稿がなされていた。そこには、出身地や今いる場所、民族ルーツ、文化への精通度、語学の熟達度、旅行者としての訪問歴など、さまざまな自己イメージを提示する上で、言語と文字の選択がなされていることが認められた。また、参加者それぞれの言語イデオロギーに立脚したものとみられる、言語をめぐる交渉や感情の表明もさまざまに見出された。なかでも、メイン画面へと視聴者の関心を誘う調整や、その場のコミュニケーションを管理しようとする多言語話者の存在が重要であることを認めた。
これらの知見の一部は、国内外の学会で発表し、参加者からのフィードバックを受けた。また、2023年度に予定している国際学会での発表に向けて、さらなるデータ分析に取り組んでいるところである。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

これまでフィールド調査の対象として計画していた催事は、新型コロナウイルスの感染予防の観点から中止あるいは延期されていたが、2022年度から少しずつ再開されはじめている。部分的に調査を実施することができたが、依然として当初の計画よりは遅れている。

今後の研究の推進方策

2023年度は積極的にフィールド調査を実施していく。コロナ禍に見られた、活動の休止や規模の縮小、催事のオンライン開催、オンラインプラットフォームの拡張などが、多言語の管理、人びとの関わり合い方、コミュニケーションのありようなどにどのような影響を与えているか、ポストコロナの国際交流イベントのあり方なども丁寧に調査する。
データ分析および研究成果の報告についても積極的に取り組む。特に多言語公共空間の形成過程、そこで生じる課題と対応策の提示に貢献できるよう努める。

次年度使用額が生じた理由

実地調査および学会がオンライン開催となり、旅費が発生しなかったため。
2023年度は催事、学会共に対面開催に戻るため、旅費として支出する計画である。

  • 研究成果

    (8件)

すべて 2023 2022

すべて 雑誌論文 (5件) (うちオープンアクセス 4件、 査読あり 1件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 2件)

  • [雑誌論文] コロナ禍の首都圏における外来の文化活動継続の状況2023

    • 著者名/発表者名
      猿橋 順子、浪貝 美砂
    • 雑誌名

      Aoyama Journal of International Studies

      巻: 10 ページ: 31~41

    • DOI

      10.34321/22627

    • オープンアクセス
  • [雑誌論文] 越境する先住民族文化 : 東京開催の台湾文化祭における台湾原住民族文化紹介の事例から2022

    • 著者名/発表者名
      猿橋 順子
    • 雑誌名

      青山国際政経論集

      巻: 109 ページ: 171~195

    • DOI

      10.34321/22585

    • オープンアクセス
  • [雑誌論文] 朝鮮芸能に携わる在日コリアンのライフヒストリー【技芸の研鑽・活動編】2022

    • 著者名/発表者名
      猿橋 順子
    • 雑誌名

      青山国際政経論集

      巻: 108 ページ: 223~245

    • DOI

      10.34321/22464

    • オープンアクセス
  • [雑誌論文] 朝鮮芸能に携わる在日コリアンのライフヒストリー【言語・コミュニケーション編】2022

    • 著者名/発表者名
      猿橋 順子
    • 雑誌名

      青山国際政経論集

      巻: 108 ページ: 247~271

    • DOI

      10.34321/22465

    • オープンアクセス
  • [雑誌論文] 文化本質主義的視点の調整―東京を拠点とする韓国伝統舞踊家のエスノグラフィーからの一考察-2022

    • 著者名/発表者名
      猿橋 順子
    • 雑誌名

      多文化関係学

      巻: 19 ページ: 3~22

    • 査読あり
  • [学会発表] A case study of language selection and language attitudes in an online nation-specific festival2022

    • 著者名/発表者名
      Junko Saruhashi, Masakazu Iino, & Daisuke Kimura
    • 学会等名
      Sociolinguistics Symposium 24
    • 国際学会
  • [学会発表] Integrating a language management (LM) perspective in the life story interview method2022

    • 著者名/発表者名
      Junko Saruhashi
    • 学会等名
      The 3rd International Conference on Sociolinguistics
    • 国際学会
  • [学会発表] 移民のルーツ文化の遂行性─東京で開催された台湾文化祭を事例として─2022

    • 著者名/発表者名
      猿橋順子
    • 学会等名
      多文化関係学会

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公開日: 2023-12-25  

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