本研究は、文中の名詞句の格標示がどのように決定されるか、についてである。格標示は、文中の個々の項それじたいの性質によってだけでなく、文中の項どうしの相対的関係によっても左右される。その様子に関し、オリヤ語(インド東部・オリッサ州、印欧語インド語派、話者数約4000万)においては、他言語では見られない独特な事象が多様に見られる。本研究では、オリヤ語の現地でフィールドワークを行い資料収集を行なった。そこで明らかになったオリヤ語特有の事象を考慮に入れることにより、言語一般について高次の事実一般化を提示し、また、それら事象を理論的に分析することによって、根源的な理論的理解へ進めた。
|