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2021 年度 実施状況報告書

中世冷泉派歌人の用字法および表記意識に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 21K00550
研究機関神戸市立工業高等専門学校

研究代表者

林田 定男  神戸市立工業高等専門学校, その他部局等, 准教授 (50713682)

研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2025-03-31
キーワード伊勢物語愚見抄 / 一条兼良 / 近衛政家 / 古筆切 / 冷泉為和 / 詠草
研究実績の概要

研究の基盤となっているのは、以前に提案した、今川了俊自筆の書記/書写資料の用字実態比較調査から得られた用字法の解釈モデル(方法)である。本研究は、このモデルを了俊に関係する複数の冷泉派歌人に適用させるものであり、その目的は大きく3つある。(A)書記における個の問題の解明、(B)藤原定家の用字法の享受に関する問題の解明、(C)中世歌人(冷泉派)の用字意識の解明、である。目的達成に向けた作業内容を列挙すると、(A)用字法における複数の「個」を抽出し、さらにその結果(モデル)自体を検証すること、(B)複数の中世冷泉派歌人の書記/書写資料における仮名遣の一端の解明すなわち「定家の仮名遣い」という表記規範の実効性を検証すること、(C)「個」の表記意識を統合・分析すること、である。
本年度は、主として(A)にかかわる研究、一条兼良、冷泉為和関係の資料調査を進めた。
兼良が著した『伊勢物語愚見抄』についての調査に関連して、近衛政家筆の同書の新出断簡の調査を行った。書写面のスタイル及び書写年次から研究上の価値が高いとされる資料である。政家筆本(断簡)は、従来の注釈書の一般的なスタイルとは異なり、物語本文(全文)と注釈とを併せ持つ。これと同じスタイルの『伊勢物語愚見抄』としては、江戸時代の書写と推定されている刈谷市中央図書館蔵本が挙げられるが、政家筆本は『伊勢物語愚見抄』の成立年次に近い、早い段階での写本である。なお、紙面は整版本を想起させるほどに井々としている。頭注がある場合、行頭を2字下げにして作ったスペースに、注釈部分の割書きよりもさらに細字で端正にそれを収めている。頭注の文字の大きさと物語本文のそれとの関係は、頭注1行の長さ(6文字前後)は物語本文3文字の長さ相当、頭注3行の幅で物語本文1文字の幅相当である。
冷泉為和筆の資料については、詠草に見られる仮名を中心に分類を行っている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

調査対象資料の選定が遅れている。新型コロナウイルス感染症の蔓延により、実地調査をする機会が奪われた。実地調査後に、調査対象資料の選定を予定していた部分があったためである。

今後の研究の推進方策

新型コロナウイルス感染症にかかわる状況によるが、今後は可能な限り、実地調査を行う。また、詠草は一般的な歌書に比して、判読が容易でない。そのため、IT機器を積極的に活用して、分類・分析作業の効率化を図りたい。

次年度使用額が生じた理由

旅費に充てていた部分に余剰が生じた。新型コロナウイルス感染症の蔓延状況によるが、次年度はこれを実地調査の経費に充てる予定である。

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公開日: 2022-12-28  

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