現代の国語辞典とは異なり、多くの中世イロハ引き日本語辞書においては、見出したる漢字表記と、その直下に割り注形式で多く語形を示す片仮名注記(いわゆる和訓)及びその他の注文の合計によって構成される。当該辞書群は、項目の連続によって構成される。諸本生成の過程において、ある本で見出しであった情報が別本では注記内に格納される現象は広く見られるが、この現象に着目した研究は多くはなかった。本研究ではこの注記格納現象に注目することにより、各異本間の見出し生成のシステムや成立の前後関係の推定、また、そもそもの見出し掲出システムが未解明である点も浮かび上がった。
|