本研究では「文字生活史」記述の一環として、『小野篁歌字尽』の総合的研究をおこなった。具体的には、『小野篁歌字尽』の資料性の整理と漢字分析(①)、そしてその展開資料の整理(②)をおこない、成果報告書『小野篁歌字尽とその展開』(20024.3、私家版)を刊行した。①では、石川謙(1972)、山田忠雄(1969)の分類を基に、判型・項目の形式・項目数・頭書附録等によって、『小野篁歌字尽』諸本の整理分類をおこない、また、掲出字一覧と字体一覧を作成、掲出字の総体を提示した。②では、展開資料を整理し、一覧を提示するとともに、代表的な資料として『小野〓[竹冠に愚]嘘字尽』の諸本と展開資料を整理した。
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