研究課題/領域番号 |
21K00568
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研究機関 | 福井大学 |
研究代表者 |
中村 太一 福井大学, 学術研究院教育・人文社会系部門(教員養成), 准教授 (00613275)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 標示付けアルゴリズム / インターフェイス / 形式と意味のミスマッチ / 生成文法 / 極小主義プログラム |
研究実績の概要 |
本研究は、言語機能とインターフェイスを形成する感覚運動システムと概念・意図システムが構築された構造を解釈するために必要であると考えられている標示について、形態(音)と意味の間でミスマッチが生じていると考えられる現象の解明を通して、両システムとのインターフェイスにおいて同一の構造に異なる方法で標示が決定・付与される可能性を追求するものである。1年目である今年度は、音と意味の間にミスマッチが生じていると考えられる現象として、英語における経路表現と共起可能な移動の様態を表す動詞と日本語における可能接尾辞を伴った文における対格目的語と主格目的語の交替現象を取り上げた。そして、言語は概念・意図システムに対して最適に設計されているとする極小主義プログラムの中心的仮説に基づき、両インターフェイスでの標示のあり方・決定の仕方を考察した。なお、これら考察はそれぞれ異なる2つの共同研究(継続中)の一部として行ったものである。これら考察から、同じ意味を表す動詞(と接辞の複合体)が、それが起こる構文に応じて、異なる語彙的緊密性や形態統語的特徴を示すことが明らかとなった。この結果は、概念・意図システムとのインターフェイスにおいて同一の標示を持ち同一の解釈を与えられると考えられる構造が、感覚運動システムとのインターフェイスにおいてはそれが起こる構造ごとに異なる標示を与えられ、このため異なる語彙的緊密性や形態統語的特徴を示している可能性を示唆するものである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画通りに進んでいる。現在は、今年度に得られた成果を研究発表や論文の形で発表するための準備を進めている。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き、音と意味の間にミスマッチが生じていると考えられる現象について調査を行う。また、これまでに得られた研究成果を踏まえ、問題となる統語構造の解明と、その構造に対して感覚運動システムと概念・意図システムとのインターフェイスでどのように標示が決定・付与されるのか明らかにすることを試みる。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染拡大の影響で、予定していた通りに資料収集や研究打ち合わせを行うことができなかった。また、プリンターを購入予定であったが、半導体不足の影響で品薄となっていたため、購入を見送った。 次年度に、資料収集や研究打ち合わせを行うとともに、プリンターを購入する予定である。
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