研究実績の概要 |
本研究は、以下の(1)に示すような、特異なthat節の使用と許容に関して、社会言語学と理論言語学の両面から研究を行うものである。 (1) a. I wonder that when will we get it? b. I know nothing about that they can carry it. 2021年度は、文献調査を中心に、上記のデータに関する収集と整理を行った。Quirk et al.(1985), Biber et al.(1999), Huddleston and Pullum(2002), Butterfield(2015)等を中心に、倒置が適用される埋め込み疑問文(1a)、節を補部として選択する前置詞句(1b)に関するデータを確認し、これらが非標準的に許容されると記述されている環境の整理を行った。(1a)については、比較的記述のある、thatが顕在的に生起しない埋め込み節も含め、主語助動詞倒置が適用される残余的動詞第二位の埋め込み疑問文に焦点を当てた。どのような動詞が主節動詞として使用傾向が高いか、当該倒置が適用されない標準的な疑問文との意味の差異について整理を行った。(1b)についても、thatが顕在的に生起しない場合を含め、どのような前置詞で一般に節が選択されやすいのかの確認と整理を行った。 2022年度からは、当該現象に関して実地調査を行う予定であるため、2021年度の成果は、当該調査で使用するデータを作成する上で有用になるはずである。
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