研究実績の概要 |
本研究の目的は、補文標識thatに関する非標準的な文法形式(破格の文法形式)が、英語母語話者によって、どの程度、使用・容認され、容認される話者にとって、当該形式に、どのような(社会的)意味を伴うかを明らかにすることである。 2023年度は、"I wonder that what is the big deal" のように動詞が補文標識that+疑問節を選択する非標準的な間接疑問形式に関して、コーパス調査を行った。English Corpora.org (https://www.english corpora.org/)に収録されている、iWeb, GloWbE, NOWという3つのコーパスを使用し、通常、補文標識thatで導かれる節を選択しない動詞であるwonder, askが補文標識that+疑問節を選択する破格の文法形式が、どの程度、使用されているのかを調査した。先行研究では、当該形式がイギリスのテレビ・ラジオ放送で使用されているという報告がなされていたが、コーパス調査の結果、大筋で、以下の2点が明らかになった。
1. GloWbEとNOWでの出現数は非常に少なかったが、イギリスのみならず、アメリカやオーストラリア等、他のインナーサークルの英語でも、当該形式が一定数、観察された。 2. 補文標識thatに後続する疑問節に、主語・助動詞倒置が適用されている形と適用されていない形の2種類があった。 なお、本調査の結果は、書籍に収録された論文として、2024年3月に発行・公開されている。
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