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2022 年度 実施状況報告書

日英語における所有の概念と名詞句の意味機能との関連性

研究課題

研究課題/領域番号 21K00578
研究機関熊本学園大学

研究代表者

小深田 祐子  熊本学園大学, 商学部, 准教授 (50466653)

研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2025-03-31
キーワード名詞句の意味機能 / 定性効果 / 所有構文 / 情報構造
研究実績の概要

前年度の2021年度は、所有構文に観察される定性効果という言語事実を、名詞句の意味機能の視点で捉えなおした。その際、所有動詞の目的語名詞句のもつ意味機能によって、定性効果が生じるかどうかが決まることが分かった。当初の計画では、2022年度は、この名詞句の意味機能を基準にして、一見、所有の概念と関連しないと思われる構文、とりわけ日本語のコピュラ文や存在構文との関係を探る予定であった。しかし、研究を進めていく中で、当該構文の目的語名詞句の意味機能のみならず、目的語名詞句の情報構造および所有動詞の意味との関係性を分析する必要性を感じ、当初の予定を変更した。とりわけ、目的語名詞句の情報構造と動詞の意味との関連を、通言語的な視点から比較検討することを試みた。具体的には、以下の通り、目的語名詞句の情報構造と所有動詞の表す意味との関係性および定性効果との関わりについて日英語の言語間での差異を整理した。①英語とは異なり、日本語の所有構文に定性効果が見られない場合、目的語名詞句が常に新情報を担う。一方、英語には情報構造の点でそのような制約が見られない。②この事実は次のことを示唆している。すなわち、日本語の「いる・ある」と英語の所有動詞とでは、表せる意味内容に相違点がある。今後は、目的語名詞句の情報構造と意味機能との関係性に加えて、日英語以外の言語にも視野を広げて考察したいと考えている。また、新情報を常に要求するthere存在構文との関係性も探る予定である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

4: 遅れている

理由

今年度は、日本語のコピュラ文や存在構文との比較検討を試み、日英語の文法体系における通言語的に普遍的な特徴および個別的な差異を明らかにすることを目標としていたが、予定を変更し、所有構文の目的語名詞句の情報構造と動詞の意味との関連を詳細に考察することを試みた。しかしながら、当初、想定していたよりも、先行文献での主張や関連データの精査に時間を要し、研究成果を論文としてまとめることができなかったため。

今後の研究の推進方策

今後は、目的語名詞句の情報構造と意味機能との関係性に加えて、日英語以外の言語にも視野を広げて、情報構造の違いによって異なる振る舞いをする点を補強すべく更なる実例を集めたいと考えている。また、新情報を常に要求するthere存在構文との関係性も探る予定である。

次年度使用額が生じた理由

Covid-19の影響により、学会・研究会がオンライン開催となったものが多く、旅費がかからなかったため。次年度以降に、情報構造に関する文献も含めて関連書籍の購入など物品費に充てる予定である。

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公開日: 2023-12-25  

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