研究課題/領域番号 |
21K00598
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
畑佐 由紀子 広島大学, 人間社会科学研究科(教), 教授 (40457271)
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研究分担者 |
小口 悠紀子 広島大学, 人間社会科学研究科(教), 准教授 (70758268)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 日本語教育 / アカデミックジャパニーズ / 独話 / 談話 |
研究実績の概要 |
2022年度の計画は,アカデミック・スピーキングのデータベースの構築を完成させ,発話の質の分析を始めることであった。 会話のデータは,研究協力承諾を得て,オンラインで行った90分の授業中に行ったグループディスカッションを26回,全部で2340分のデータをZoomで収録した。このデータを機械で文字化した。参加者の中には,日本語の母語話者と非母語話者が含まれていたため,研究補助者2名に文字化したデータをチェックして修正させた。また,話者ごとに,発話の開始時間と終了時間を記録した。すべてをエクセルファイルに取り込み,オンラインのデータベースを構築した。 独話データは,オンラインで収録した。調査協力者は日本語を母語とする大学生・大学院生と中国語を母語とする研究生と大学院生であった。調査協力者に研究概要を説明し承諾を得た後,各人にランダムに提示された10のトピックについて話してもらった。全部で70名のデータを収集した。このデータを機械で文字おこしをしたが,変換ミスが多かったため,研究者が文字おこしを確認し,修正した。各発話について,発話の流暢さ・複雑さ・正確さを計測するために,発話時間,AS-UNIT, ポーズ,節,単語(意味語),正しい単語,正しい節,正しいAS-UNITをコード化した。更に,発話のFunctional Adequacy(帰納的妥当性)をコード化した。 独話のデータの一部を用いて,データベースの整合性を確認するとともに,分析を行った。また,データの音声を分析し,学習者の発話の傾向を量的に分析して,国際学会で発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
独話のデータの文字おこしは完成しており,研究協力者と共有できるようにしている。データのコーディングを機械的に行ってみたところ,データをコードしないほうが良い形態素もコードされてしまうことが分かった。そこで,コード化から除外する形態素を決定し,機械的に修正した。その後,これらの修正が正しいことを母語話者2名が確認した。 次に,非流暢さについて測るためには,正確さと複雑さとは別のファイルを作成する必要があると判断した。具体的には,流暢さを測るための言いよどみや繰り返しがあるファイルと,これらがない正確さや複雑さの分析用のファイルを作成した。更に,学習者の発話の間違いについては,誤用のタイプもコード化したほうが良いと判断したので,このコード化を加えることにした。最後に,機械的にデータを分析するファイルと,別のサーバーに設けてバックアップファイルを保存することにし,新たにサーバースペースを設けた。 独話の発話のデータのコード化は,間違いのタイプのコード化以外はほぼ完成しており,一部は分析可能な状態である。この点において分析に着手し,国際学会で発表をした。また,この成果を一部用いて本を出版した。また,会話データについては,文字化が終了しており,現在はこのデータの談話を分析しているところである。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度は独話のデータについて,話速,発話量,発話の流暢さ,複雑さ,正確さを量的に分析したものを母語話者と学習者で比較し,習熟度別の比較をする。次に,母語話者の独話データのみを用いてジャンル分析をする。この分析で扱うジャンルは,比較,意見表明,ナラティブである。対象とする表現は,接続表現,文末表現,及び,特定のジャンルに高頻度に出現する表現である。これらを量的に分析するほか,談話における機能について質的に分析する。これにより,ジャンルによる話の特徴を明らかにし,先行研究と比較する。また,学習者のデータについても同様の分析をする。その際,学習者の習熟度別の分析も行う。各ジャンルについて,母語話者の結果と比較するとともに,学習者の話し方がジャンルによってどう異なるのかも分析する。 第三に,独話の分析で現れた母語話者によくみられる表現が会話データでも見られるか検討する。特に意見や根拠を示す表現などに着目する。更に,会話にしか見られない高頻度に現れる表現等についても分析する。学習者についても同様の分析をする。 以上の分析をもとに,論文を執筆するとともに学会に投稿する。また,2022年度で分析したデータについても論文にまとめて発表する。
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次年度使用額が生じた理由 |
もともとの申請では,学会発表のための旅費に補助金を使う予定であったが,Covid-19の蔓延によるパンデミックで,殆どの学会がオンラインになり,旅費を使うことがなかった。その代わりに,文字おこし作業をする学生を雇用し,時給で支払いをしたが,最終的には想定以上に学生のデータ処理が早かったため,次年度使用額が生じた。次年度使用額については,8月のヨーロッパ日本語教師会に参加するための出張費として使う予定である。
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