研究課題/領域番号 |
21K00604
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研究機関 | 目白大学 |
研究代表者 |
加賀美 常美代 目白大学, 心理学部, 教授 (40303755)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 文化的ダイバーシティ風土 / 価値観 / 多様性 / 外国人就労者 / 日本人就労者 / 職場の組織風土 / 修正版グラウンデッド・セオリー・アプローチ / コロナ禍 |
研究実績の概要 |
本研究では、外国人就労者と日本人就労者の異文化間葛藤の解決を目指すとともに、多様性を包摂した組織環境を築き、外国人就労者と日本人就労者が良好な関係維持が保たれる職場環境が構築されるためにはどのようにしたらよいか検討することを目的とする。本研究の対象者は、日本の大学または大学院を経て大手企業で日本人就労者とともに働く外国人就労者8名である。年齢は32-45歳で、複数回の転職経験を持つ者も含まれる。職種は人事・営業・物流・営業技術等、様々である。本調査研究に関する十分な説明と同意を得て2021年9月に半構造化インタビューを実施した。インタビューデータは文字化を行った後、分析手法として修正版グラウンデッド・セオリー・アプローチ(M-GTA)を用いて分析を行った。 分析の結果、多様性、人間関係、制度的柔軟性、企業理念は相互に関連し合いながら、対象者の「働きがい」に結び付いている。対象者は自分の職場を「自己成長できる環境」であり、「会社における自分の存在意義の実感」が得られる場所であると認識しているが、一方で「外国人社員特有の困難」も残されている。コロナ感染拡大回避のため、働き方の変更を余儀なくされている社会状況の中で、対象者は少なからず「コロナ禍による変化」を感じている。業務上では「対面コミュニケーション消失による影響」を受け、「業務上の価値観の変化」を感じるとともに、プライベートに関しては「家族関係の重要さへの気づき」が生じ、 在宅勤務を行うことで「仕事とプライベートの区別の必要性の認識」を感じている。以上のように、外国人が少数の職場で就労を行う本研究の対象者は、自分の職場を概ね肯定的に捉えているものの、一方で外国人社員特有の困難を抱え、企業理念としてのダイバーシティ推進と現実との間にギャップを感じるとともに、更なるダイバーシティ推進の必要性を認識していることが明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1年目は当初の計画どおり、「文化的ダイバーシティ風土」と多様性という観点から、多国籍の職場で就労する外国人就労者と日本人就労者に半構造化インタビュー調査を実施した。 研究結果については、特に外国人就労者を対象に質的分析を行った結果、外国人が多数の職場と少数の職場では、認識の相違が認められた。したがって、2022年6月に行われる異文化間教育学会の大会で2つの発表を行う予定である。日本人就労者の質的分析は未着手であるが研究計画はほぼ達成しているといえる。
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今後の研究の推進方策 |
今後は2021年度に行った半構造化インタビュー結果をさらに整理し、多角的に質的分析を行い、学会発表に向けて準備を行う。次年度に向けて量的調査の準備を行う。インタビューで確認された諸要因をもとに、質問項目を作成し、質問紙調査の準備を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍で学会開催がリモートで行われたため、学会参加などの旅費が使用されなかったため。次年度は対面で行われる学会もあるため、旅費等に充当する予定である。
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