研究課題/領域番号 |
21K00608
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
森本 豊富 早稲田大学, 人間科学学術院, 教授 (30230155)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | アメリカ地域研究 / 第二次世界大戦 / 在米日本人 / 在米日系人 / 言語・文化の維持・継承 / 強制立ち退き |
研究実績の概要 |
本研究は、戦中期の在米日本人・日系人の言語・文化の維持・継承状況について① 北米本土に 10 箇所設置された強制収容所のうちトパーズ(ユタ州)、ツーリーレイク収容所(カリフォルニア州)、② 戦中期に収容所に収容されなかった内陸山間部についてユタ州ソルトレイクシティー、コロラド州デンバー、③戒厳令下にあったハワイについてオアフ島ホノルル及びハワイ島ヒロを中心に調査を実施、これら3地域および地域内の類似点と相違点について比較検討し、戦中期に在米日本人・日系人の言語・文化がどのように維持し継承されていったのかを明らかにすることが研究目的である。 その目的達成のため、初年度の2021年度は、主に①の強制収容所の状況についてスタンフォード大学フーバー研究所, UCLA図書館などで文献調査する予定であったが、コロナウイルス感染拡大の影響が収束しないなか、2021年度も海外調査は実施できなかった。したがって、国内で強制収容所にともなう言語・文化の維持継承に緘する文献調査を進める中で、当初の計画では含まれていなかった次の点を追加調査する必要性を認識した。すなわち、(a)強制収容所に転住する前に臨時的に収容されていた15箇所の仮収容所、(b) 日系コミュニティの指導者たちが抑留されていた米本土およびハワイに設置されていた司法省または陸軍管轄の抑留所、(c)米陸軍または米海軍の情報学校での日本語教育。以上の3点である。 2022年度は、コロナ感染の影響で同時進行している2018年度からの科研費調査での戦前期の在米日本人・日系人の言語・文化の維持・継承に関する研究成果を反映させながら、拡がりと深まりを持たせつつ次年度以降に活かしていく計画である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
「やや遅れている」最大の理由は、当初予定していたスタンフォード大学フーバー研究所やUCLA図書館での調査が、コロナウイルス感染拡大の影響で実施出来無かったことである。しかし、一方で、国内で早稲田大学中央図書館マイクロフィルム資料室所蔵のWRA (War Relocation Authority)関連史料、『南加州日本人史 後篇』掲載の日系コミュニティ指導者たちが真珠湾攻撃直後に抑留されていた司法省・米陸軍管轄の抑留所関連の記録、UCLA JARP (Japanese American Research Project) オーラルヒストリー音声記録などに当たる中で、当初の計画からさらに多角的に調査する必要性を認識した。 具体的には(a)10箇所の強制収容所に転住する前に臨時的に収容されていた15箇所のAssembly Center (臨時集合所、一般的には仮収容所)における日本語・日本文化の維持・継承状況、(b)真珠湾攻撃直後、 一般の日系人が強制立ち退きさせられる以前に検挙された日系コミュニティ指導者たちが抑留されていた米本土およびハワイ設置の司法省または陸軍管轄の抑留所での日本語使用状況(抑留所によってかなりの違いがあることが徐々に判明しつつアル)、(c)米陸軍または米海軍の情報学校での日本語教育(すでに詳細な研究は存在するが、JARPオーラルヒストリーで補完する)などについても事例を取り上げる必要性のあることを認識した。 これらの追加調査について網羅的に取り扱うことは本研究の範囲を逸脱するおそれはあるが、戦中期の在米日本人・日系人の言語・文化の維持・継承をテーマとする本研究では欠かすことができないと判断し、今後の調査・研究の視野に入れ進めていく必要性のあることを認識している。今年度以降、3年間で適宜取捨選択しながら調査を進めていきたい。
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今後の研究の推進方策 |
報告者は、2018年度に開始した科研研究「「日系市民」と日本語教育ー戦前・戦中期の米国西海岸を中心に」が、コロナウイルス感染拡大のため海外調査が実施できずに今年度まで延期して継続調査をする。したがって、2022年度も本研究と同時並行で調査研究を進めることになり、戦時中のみならず戦前からの連続性を視野に入れながら引き続き調査する。 そのことに関連して、報告者は2022年7月から開始されるサンフランシスコの日系団体JCCCNC (Japanese Cultural and Community Center of Northern California)およびスタンフォード大学フーバー研究所連携による米国立公文書館(National Archives)の研究助成The Mellon/NHPRC Planning Grantの共同研究者として加わることが決定した。サンフランシスコに残された日本人移民の一次史料をデジタル保存・整理・活用するプロジェクトであり、所蔵資料の中には戦前から現在に至るまで、米国の代表的日本語学校であり続けている金門学園関連の資料も含まれている。またフーバー研究所には、サンフランシスコ仏教会関連資料 (The Buddhist Church of San Francisco Records)が所蔵されており、その中には仏教日曜学校讀本や桑港(サンフランシスコ)学園史料、卒業式関連史料、卒業生名簿、同窓会記録や写真などが所収されている。現地で一次史料にあたり本科研調査にも役立てたる計画である。万一、コロナウイルス感染拡大の影響で渡米が困難になった場合は、2021年度に実施した国内での文献調査を継続して行っていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初計画していたスタンフォード大学フーバー研究所およびUCLA図書館での調査がコロナウイルス感染拡大の影響で実施出来なかったことが最大の理由である。 国内での調査などに使用することも考えられたが、感染状況が十分に収束していないとの判断から、次年度以降に感染状況が収束したところで海外調査のために繰り越して集中的に使用する計画を立てた。 状況が許せば、年度内にワシントン大学シアトル校の図書館でも文献調査を実施することを予定している。
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