研究課題/領域番号 |
21K00615
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
清田 淳子 立命館大学, 文学部, 教授 (30401582)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 移民第二世代の若者 / 教科学習支援 / 母語活用 / 言語少数派の子ども / 母語支援者 |
研究実績の概要 |
本研究では「言語少数派の児童生徒」(外国から来て日本で暮らす、日本語を母語としない子ども)に対する教科学習支援に、移民第二世代の若者(以下「第二世代の若者」と呼ぶ)が母語支援者として参画することの可能性を追究する。本研究の目的は、1. 第二世代の若者が行う母語を活用した学習支援にはどのような特徴があるのか、2. 第二世代の若者は、母語支援者として学習支援を行うことについてどのような意識をもっているか、3. 学習支援の参加生徒や受け入れ側の学校教員は、母語支援者としての第二世代の若者をどのような存在としてとらえているか、の三つである。これらの研究目的に対し、初年度の令和3年度は以下の2点に取り組んだ。 1. 令和3年6月から令和4年1月にかけて、公立中学校の国際教室で、中国出身の生徒2名を対象に「教科・母語・日本語相互育成学習モデル」に基づく母語を活用した教科学習支援を継続的に実施した(全24回)。その内11回の学習支援は、フィールド先の公立中学校を卒業した第二世代の若者(高校生及び大学生)が母語支援者を務め、日本語支援者と協働で支援に当たった。第二世代の若者によるこれらの支援を対象に教室談話データを収集した。 2. 年度の途中と終了後に、1年間を通して学習支援に携わった第二世代の若者(2名)に、参加動機、継続理由、学習支援を行う際の工夫や困難点、生徒との向き合い方、今後の抱負や課題、必要なサポートなどについてインタビューを行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
「研究実績の概要」の項で示したように、第二世代の若者による教科学習支援の実施、及び第二世代の若者へのインタビュー調査はおおむね順調に進んでいる。これらの研究活動や調査を通して、計11回分の教室談話データと支援記録、インタビュー・データを収集し、現在、文字化と翻訳作業を進めている。
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今後の研究の推進方策 |
令和4年度も今年度に引き続き、5名の第二世代の若者の協力を得て教科学習支援を定期的に実施する。そして、以下の項目について分析や情報収集を進め、成果をまとめる。 1. 第二世代の若者が行う母語を活用した学習支援にはどのような特徴があるのか、学習活動や参加生徒との相互作用に着目して学習支援活動の特質を明らかにする。その際、成人の支援者が行う学習支援との比較検討も行う。 2. 第二世代の若者に対するインタビュー・データの分析に着手する。研究目的2に関わり、学習支援に母語支援者として参画する第二世代の若者の意識について分析を進める。 3. 母語支援者として学習支援に参画する第二世代の若者を、受け入れ側の学校教員がどのように受けとめているか、インタビュー調査を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
(理由) 「次年度使用額」に残額が生じた理由は、コロナの影響や学校行事の日程の関係で学習支援の実施が予定していたよりも少ない回数となったことと、別枠の研究費を旅費や謝金に充てたためである。また、物品費の残額は当初予定していた機器(パソコン)の購入を行わなかったことによる。 (使用計画) 令和4年度は、機器の購入を行うとともに、今年度の残額を次年度の「人件費・謝金」の額に合算し、談話データ及びインタビュー・データの文字起こしと翻訳作業への謝金に使用する予定である。
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