研究課題/領域番号 |
21K00618
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研究機関 | 徳山大学 |
研究代表者 |
立部 文崇 徳山大学, 経済学部, 准教授 (10724081)
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研究分担者 |
小林 武生 徳山大学, 福祉情報学部, 教授 (40350699)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 外国人介護士 / 声かけ / 介護施設 / 介助場面 / 談話分析 / 発話意図 |
研究実績の概要 |
本研究は、介護現場で行われる「声かけ」の特徴を言語運用論的観点から記述、分析することに加え、記述した「声かけ」を福祉的観点の2つの側面から分析することにより、日本語を母語とする介護者が、声かけ時にどのような意図のもと、どのように談話を構成するのかを明らかにする。またこれにより日本語を母語としない介護者が被介護者にどのように声かけを行うことが適切と考えられるのかといった今後の外国人介護者育成を念頭においた教育への活用可能性を検討することを目的としている。 2021年度は、介護福祉施設にて声かけ場面の発話データを収集する予定であった。このデータ収集の準備として、これまでの研究成果の一部として収集してあった既存データの再分析をおこなった。これらの分析結果をもとに連携先であるサンキウエルビー株式会社を訪問し、介護者の研修を担当する本社職員らに対して、現在、明らかとなっている事実などを報告した上で、今後考えられる新人介護者への研修の際の教育としての活用可能性についても議論をおこなった。 しかしながら、新型コロナウイルス感染症の拡大と警戒レベルの変動に伴い、施設の利用や対面でおこなう活動に制限が課され、予定していたデータ収集の開始時期を延期せざるを得なかった。このため、2021年度に計画していたデータ収集と分析を2022年度に実施する計画に変更した。 一方で、今後の感染症による規制の影響を想定し、所在地である山口県よりも感染状況が厳しい愛知県などでどのように同種の研究が進められているのかを同分野の研究者と意見交換をおこない、受け入れ側(福祉施設)の不安軽減について、オンラインインタビューの可能性などを含めて議論をおこなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
これまでの収集している既存データに加え、新たなデータを収集するにあたって、既存データの再分析をおこなった。またその結果をもとに、連携先であるサンキウエルビー株式会社で介護福祉士の研修などを担っている担当職員との協議をおこなった。この協議により、2020年におこなった分析では、発見することができなかった談話構成上の特異点を、新たな仮説として導くことができた。この新たな仮説の検証のため、2021年度は新たなデータ収集を行なう予定としていたが、新型コロナウイルス感染症の拡大と警戒レベルの変動に伴い、施設の利用や対面でおこなう活動に制限が課され、予定していたデータ収集の開始時期を延期せざるを得なかった。このため、2021年度に計画していたデータ収集と分析を2022年度に実施する計画に変更した。 また同時に、今後の感染症による規制の影響を想定し、所在地である山口県よりも感染状況が厳しい愛知県などでどのように同種の研究が進められているのかを同分野の研究者と意見交換をおこない、受け入れ側(福祉施設)の不安軽減をどのように考えるかについて議論をおこない、今後の感染拡大などに備えることとしている。
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今後の研究の推進方策 |
2022年度は、2021年度に検討した福祉事業所の不安を軽減するデータ収集方法により延期していたデータの収集と、仮説の検証をおこなう。また同時に対面でのフォローアップインタビューなどを難しい場合を想定したオンラインによるインタビューの実施を施設側に依頼し、その準備をおこなうことにより、迅速にデータの収集をおこなえる体制を整える オンラインでのインタビューをおこなう場合は、施設側の不安軽減のため、本学メディア情報専攻の教員に協力をあおぎ、オンラインによるフォローアップインタビューなどを実施する。 またこのコロナ禍で得られた知見をもとに、遠隔地でのデータ集中とオンラインインタビューについても検討を進める。これらについては学会がオンライン開催となったなどの理由で使途がなくなった旅費を、計画変更に伴って発生する経費に充てるなど弾力的に活用し研究を推進する。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受け、対面によるデータ収集、フォローアップインタビューの実施が制限され、これらのデータの収集が遅れている。これに伴い、データ収集への協力者に支払う予定だった謝金および人件費、録音した会話データの文字おこしを外注する経費など、2021年度予算の執行が2022年度に繰り越されている。 2022年度は、2021年度に実施予定であった上記データ収集を、速やかに推進し、2021年度分を進めていく。また、データの収集にあたっては、このコロナ禍で得られた知見を活用し、当初予定以外の介護福祉施設でのデータ収集についても検討する。これらについては学会がオンライン開催となったなどの理由で使途がなくなった旅費を、計画変更に伴って発生する経費に充てるなど柔軟に活用し研究を推進する。
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