研究課題/領域番号 |
21K00632
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研究機関 | 武蔵野美術大学 |
研究代表者 |
三代 純平 武蔵野美術大学, 造形学部, 准教授 (80449347)
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研究分担者 |
神吉 宇一 武蔵野大学, グローバル学部, 准教授 (40726551)
米徳 信一 武蔵野美術大学, 造形学部, 教授 (80240381)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 産学連携 / 実践研究 / インクルージョン / 社会とつながる日本語教育 |
研究実績の概要 |
2021年度は、武蔵野美術大学とカシオ計算機が産学連携によって取り組んだ「にっぽん多文化共生発信プロジェクト」を考察の対象とした。同プロジェクトでは、インクルージョンをテーマとし、学生と社会人が取材を行い、取材成果に基づき、インクルーシブな社会を実現するために私たちに何ができるのかについて考えるオンラインイベントを開催した。同プロジェクトは、日本語教育の一環として取り組まれ、留学生、日本人学生、社会人がそれぞれに、そして相互に学び合いながら、新しい社会のコミュニケーションのあり方を探求するものである。 このような取り組みは、近年、注目される、社会とつながる日本語教育の一つの試みであり、産学連携という形態で広く社会で学びを共有する点に意義があると考える。本科研は、このような産学連携による日本語教育の可能性を実践研究を通じて考察し、そのモデルと、評価のあり方を提案することを目的としており、21年度はその1年目にあたる。 研究としては、実践記録、学生のふりかえり、そして、学生、および社会人に対して行ったインタビューの記録を資料とし、実践を通じて、どのような学びが形成されているのかを考察した。その成果の一部として、学生の学びのプロセスに焦点をあて、言語文化教育研究学会の年次大会において発表した。考察から明らかになったことは、取材というインプットとイベント開催というアウトプットにおいて、それぞれに他者と出会い、声を聞き、その声に自身の声を重ねながら、他者に伝えるということを経験することによって、社会問題を自分の問題として捉え、社会参加に対して積極的な態度を身につけることができたということである。このことは、社会とつながる日本語教育実践を企画する上で、重要な知見であると考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
コロナ禍で実施が不透明であったが、無事、産学連携によるプロジェクトを遂行することができた。また、参与観察者として参加している共同研究者によって、学生、社会人双方にインタビューを行うことができ、実践を考察するための貴重なデータを収集することができた。その成果の一部を学会において発表することもできたため、計画通り順調に進んでいると言える。
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今後の研究の推進方策 |
2022年度は、21年度の口頭発表の内容をもとに、論文を公表する予定である。また、21年度は、学生を対象に考察したが、22年度は、社会人を対象とした考察も予定しており、その内容は、学会にて口頭発表という形で公表する計画である。学生、社会人の学びのプロセスは、M-GTAに基づいた事例研究として考察しているが、あわせて、プロジェクト全体を活動理論に基づいて考察することで、実践自体の考察をさらに深めていくを検討している。 あわせて、22年度も、21年度の産学連携プロジェクトをさらに発展させた形で実践し、その成果も考察していく。また、当該プロジェクト以外に取り組まれている社会連携による日本語教育に関する情報収集も行っていく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍によって、予定していた学会がオンラインになり、出張費の出費がなかったことが主な要因である。22年度は対面での学会が予定されており、その出張参加費に当てることとする。
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