研究課題/領域番号 |
21K00634
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研究機関 | 中京大学 |
研究代表者 |
宮澤 太聡 中京大学, 文学部, 准教授 (90579161)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 日本語教育 / 講義の談話 / 表現と理解 / パラフレーズ |
研究実績の概要 |
「文章・談話研究会」(代表:佐久間まゆみ早稲田大学名誉教授)が保有する人文科学系講義2編(講義G・講義H)の談話データ(各90分)に付された情報伝達の質と量を測定することを目的として設定された分析単位である「情報伝達単位(CU)」(佐久間まゆみ2006等)に基づき、3種の理解データ(①受講時のノート・②要約文・③受講後のインタビュー)にも、「情報伝達単位(CU)」の分類を付すことを目指した。 CU認定の技術を習得した作業補助者3名とともに作業を進め、講義G,Hの②要約文について、日本人70名分(約30,000CU)にラベル付けを行った。これにより、講義の談話において講義者が表現した情報がどのようなかたちで受講者の理解に残存するのか(講義者の発話のどのCUがどのようなCU分類になって要約文の文章に残存するのか)を分析する下準備が整った。また、日本人学生の分析を進める一方、日本人学生と同様に、留学生の②要約文データに着手しており、現在、1,000CU程度のラベル付けを行っている。この作業は、引き続き継続し、2022年度中に理解データのラベル付けを終えたいと考えている。 2022年度は、理解データのCUラベル付けを続けながら、2021年度に十分行えなかったCUの認定基準の再検討を行う。並行して、まずは、②要約文の分析から、日本人学生が講義Gと講義Hを受講して理解した内容(結果的理解)をどのようなかたちで表現するのか、その表現形式に特徴があるのかを分析していくことを検討している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2021年度の予定していた「情報伝達単位(CU)」の検討については、現在、コロナの影響で十分に検討を進めることができていないが、その代わり、2022年度に予定していた講義の談話を受講した人の理解データのCUのラベル付けを行っている。 ラベル付けの作業の中で、CUの修正可能性などと検討しており、2022年度は、受講者の理解データのCUラベル付けを行いながら、並行して、CUの認定基準についても精緻化していくことができる状況にある。
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今後の研究の推進方策 |
コロナの状況次第という不確定要素はあるが、現在、行動規制はなく、「文章・談話研究会」の中で、CUの認定基準について検討が再開できる状況となっている。これからは、連絡を密にし、適切なアドバイスが得られる状況を整備していきたい。 また、情報伝達単位の認定について、作業人数を増やすなど、精度を落とさずに効率化できる作業方法を検討し、日本人学生の①受講ノート、③受講後のインタビュー、留学生の①受講ノート、②要約文、③受講後のインタビューのCUラベル付けを推進していきたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナの影響で、東京への移動、研究会の開催ができなかったため、旅費と施設利用の費用が利用できなかった。現在、行動制限が解除されている状況なので、積極的に移動をして、特に、情報伝達単位の再検討に対するアドバイスを受ける機会を増やす必要がある。 具体的には、東京出張を月2回に増やすことを計画している。 〇東京-名古屋間往復+宿泊費:32,000円 × 12回 = 384,000円)
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