研究課題/領域番号 |
21K00660
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
小林 雄一郎 日本大学, 生産工学部, 講師 (00725666)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 学習者コーパス |
研究実績の概要 |
2021年度は、採択課題の初年度ということもあり、まずは、マルチレベル分析の技術的詳細および言語学関連分野への応用事例に関する文献調査を行なった。その結果、量的な目的変数を対象とする回帰分析、あるいは、2値の目的変数を対象とするロジスティック回帰分析のみで、3値以上の順序変数を扱う回帰分析の使用例を見つけられなかった。しかしながら、学習者コーパス研究で一般的な目的変数はカテゴリカル変数(「学年」や「習熟度レベル」のような順序尺度、「母語」のような名義尺度) であり、そのような変数を適切に取り扱う手法を用いないと、正しい発達指標の特定ができない可能性が高い。したがって、本研究では、マルチレベル順序ロジットモデルを用いた学習者コーパス研究の方法を模索した。具体的には、申請書に言及したHylandのメタ談話標識を説明変数、英語ライティングを書いた学習者の習熟度を目的変数とし、学習者の母語をグループレベルの変数とする順序ロジットモデルを実行した。そして、(1)習熟度レベルの予測におけるL1の影響は無視できないこと、(2)習熟度レベルが上がるにつれてTRAとSEMが有意に減少していくこと、を明らかにした。なお、この分析の結果の一部は、外国語教育メディア学会のメソドロジー研究部会で口頭発表したのち、Journal of PAALに査読付き論文として発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
初年時にも関わらず、前述のように、申請書に記述した研究計画の一部を終え、査読付き論文として出版できたため。
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今後の研究の推進方策 |
現時点では順調に研究が進んでいるため、基本的には、同様の研究を深化させていく。さらに、それに合わせて、様々な言語データの分析を通して、順序ロジットモデル以外の解析手法の有効性も検討していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究申請時にはコロナ禍がある程度終息していることを想定していたが、国内会議・国際会議ともに中止あるいはオンライン開催となり、支出の大部分を占める予定であった出張費の執行がなかったため。それらの予算は、今年度以降、社会情勢および所属機関のガイドラインを考慮しつつ、出張費あるいは物品購入費として、適切に使用する予定である。
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