研究課題/領域番号 |
21K00674
|
研究機関 | 一橋大学 |
研究代表者 |
西谷 まり 一橋大学, 森有礼高等教育国際流動化機構, 教授 (80281004)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
|
キーワード | 技能実習生 / 送り出し会社 / 日本語教育 / オンライン教育 / ハイフレックス授業 |
研究実績の概要 |
大規模技能実習生送り出し会社ESUHAI CO.,LTDにおいて、教師研修会を行った。「話す授業の作り方」というタイトルで、ベトナム人日本語教師対象のハイフレックス方式(対面80名、オンライン30名)の教師教育を行った。オンライン参加の30名はESUHAI社の支部からの参加で、ベトナムの北から南まで10か所からオンラインで参加した。本科学研究費補助金の研究テーマであるベトナム人日本語教師対象の教育を実践、受講生から事後評価を得た。対面とオンラインの教育を並行して行うハイフレックス授業が日本語教師教育においても効果的であることが明らかになった。今後、本研修についての詳細な分析を行う予定である。
そのほかに、ベトナムの中規模技能実習生送り出し機関の社長A氏を対象にライフストーリーインタビューを行った。これまで、技能実習制度及び、来日した技能実習生に対する調査研究は行われているが、送り出し機関の経営者を対象とした研究は、管見の限り見られない。ベトナムにおける技能実習生送り出し機関の社長がなぜ技能実習という制度に関わるようになり、それを仕事として遂行するなかでどのような思いを持つようになっていったのかを明らかにすることを目的とした。技能実習生に関する一般的見方は「日本の劣悪な労働環境で搾取される外国人労働者」であり、技能実習生送り出し機関に関するそれは「貧しく低学歴の若者を搾取する悪徳業者」ということになるが、A氏の語りからはそれに抵抗する言説が多くみられる。「選択肢の少ない環境の若者が外国語を学び、外国で仕事を体験することによって人生の可能性を広げていく」、さらには「日本ファン」を増やしたいという長期的な視野を持って技能実習生送り出し事業を継続している姿が確認された。異文化間教育学会において口頭発表を行うとともに、一橋大学国際教育センター紀要に報告として発表した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
コロナ禍のため、2020年春から研究対象であるベトナムにおける技能実習生送り出し会社の日本語教育は開店休業の状況であったため、研究の進捗が遅れていたが、ようやく日本語教育再開に向けて動き出した。2022年12月には、約3年ぶりに申請者がベトナムのホーチミン市に渡航することができた。ホーチミン市では、大規模技能実習生送り出し会社ESUHAI CO.,LTDにおいて、教師研修会「話す授業の作り方」というタイトルでベトナム人日本語教師対象のハイフレックス方式(対面80名、オンライン30名)で教師教育を行った。
|
今後の研究の推進方策 |
2022年12月にはホーチミン市において、中規模技能実習生送り出し会社CICS(国際協力サービス)の渉外担当、日本語教育担当と情報交換を行い、ベトナム人日本語教師対象のオンライン教育について、2023年度の実践について打ち合わせを行った。また、ESUHAI CO.,LTDでは2023年1月から新規にベトナム人日本語教師養成講座を開始しており、カリキュラム作成には申請者も関与している。2023年度には、ESUHAI CO.,LTD及びCICSのベトナム人日本語教師を対象に、大学の夏季休暇中に申請者がホーチミン市に渡航して、対面とオンラインを併用するハイフレックス授業を行う。また、ESUHAI CO.,LTDの日本語教師養成講座のいくつかの授業科目を日本からオンラインで申請者が担当する予定である。これらの授業の事前事後調査、受講生インタビューなどをもとに、ベトナムにおける技能実習生送り出し会社のオンライン・ハイフレックス授業の効果を検証していきたいと考えている。
|
次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍のために計画の一部が遅れたため、未使用が生じた。 ハイフレックスによる教師教育実験授業を行う際に使用するノートパソコンの購入、ベトナム渡航費用などに使用する予定である。
|