研究課題/領域番号 |
21K00690
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研究機関 | 岐阜医療科学大学 |
研究代表者 |
中山 麻美 岐阜医療科学大学, 薬学部, 講師 (00708125)
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研究分担者 |
Dickinson Paul 名城大学, 外国語学部, 特任講師 (30815965)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 多読活動 / 自律性 / 学習方略 |
研究実績の概要 |
令和4年度において、医療系学部の1年生138名が春学期と秋学期の2学期を通じて、教室外で実施した多読(ER)活動に関する振り返りレポートを量的および質的に分析した。調査の目的は、ER活動が学習者の自律性を向上させ、英語教材の読書に対するモチベーションや意識の変化を促すかどうかを明らかにすることである。 分析手法として、振り返りレポートに共起ネットワーク分析(CNA)を適用した。KH Coderを使用し、CNAは文章中のエンティティ間の潜在的な関係をグラフィカルに可視化する。その後、学習者は振り返りレポートからキーワードを抽出し、抽出されたキーワードがどのように表現されているかを文脈上確認した。 分析の結果、「楽しい」「苦手」などのER活動に関連するキーワードが抽出された。これらのキーワードは、感情を通じて活動を捉えることが、英語教材の読書に対するモチベーション向上や意識の変化につながる可能性を示唆している。さらに、一部の学習者からは自律性が向上したという発言が見られ、読解方略やER活動に対する認識についての記述も確認された。 この研究の成果は、英語を学ぶ大学生に対して、ER活動が学習者の自律性と動機付けを促進する有効な手段であることを支持している。今後、ER活動の実施方法やサポート体制を改善することで、学習者の自律性や動機付けをさらに向上させる可能性があるため、その点について検討することが重要である。本研究で得られた知見は、英語教育における多読活動の効果や適切な指導方法に関する理解を深めるために活用したい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
令和3年度および4年度の研究目的は、多読活動における総語彙数と英語速読のスピードの相関を調査することであった。そのため、ANOVA統計を用いて英語の多読活動で読んだ語彙数の相関性を分析したが、有意な差は見られなかった。しかし、被験者が一定の文字数を読むスピードは、授業の初期段階と比較して前期と後期の授業終了時には向上していることが判明した。 この要因の解明に向けて、令和4年度では被験者の多読活動に対する振り返りレポートのテキストマイニングを主軸に据え、多読活動の成果に影響を与えた要素を分析した。こうした取り組みは、本研究の研究計画書に沿ったものであり、全体として順調に進展していると考えられる。今後は、このような分析結果をもとに、多読活動が英語学習者の速読スピードや語彙習得に与える影響に関する理解を深め、さらに効果的な指導法に役立てていくことが重要であると考える。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究計画において、以下のステップを踏んで進めていく予定である。まず、現在までの研究成果を整理し、多読活動の効果や適切な指導法に関する理解を深めることを目指す。この過程で他の研究や文献との比較検討を行い、研究の有用性と信憑性を高めることに努める。 次に、被験者の振り返りレポートから得られたデータをさらに詳細に分析する。多読活動の成果に影響を与えた要因やパターンを明らかにし、特に自律性や動機付けの向上につながる要素に焦点を当てた分析を進める。これにより、教育者が今後の指導に生かすことができる知見を得ることを目指す。 さらに、現行の指導法や教材に改善の余地がある場合、新たなアプローチや工夫を検討する。試行錯誤を繰り返しながら、最適な方法を見つけ出すことを目指し、実践的な指導法を確立できるよう努力する。 また、研究成果をまとめ、学術論文や学会発表を通じて成果を共有する。さらに、実際の教育現場での実践や教育者へのフィードバックを通じて、研究成果が広く活用されるよう努力する。このような取り組みを通じて、英語教育の質を向上させ、学習者が効果的に英語を習得できる環境を整備していくことが求められる。 最後に、今後の研究展望を明らかにし、新たな課題や疑問点を洗い出す。継続的な研究活動を進めることを目指し、英語学習者の自律性や動機付けの向上に貢献できるよう取り組む。以上の計画に従って、多読活動の効果や英語教育における適切な指導方法に関する理解を深め、英語学習者の自律性や動機付け向上に寄与できるよう、引き続き研究を進めていきたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
令和3年度に予定されていた国際・国内学会での発表は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響により実施が困難となった。そのため、当初計画していた予算を執行することができず、結果的に繰越金が発生した。 この状況を受けて、令和4年度に繰越金が生じている。研究者は、研究成果を共有し、他の研究者と議論を交わすことが重要であると認識しており、研究発表の機会を求めている。 そこで、令和5年度では、国際・国内学会などの研究発表の場を積極的に探し、研究成果の発表を行いたいと考えている。これにより、繰越金を有効活用し、研究の質を向上させることができるとともに、他の研究者との情報交換や議論を通じて、新たな研究アイデアや指導法の開発に繋げていくことが期待される。また、研究者自身のスキル向上や国際的なネットワーク構築に繋げたいと考えている。
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