研究課題/領域番号 |
21K00698
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研究機関 | 豊田工業高等専門学校 |
研究代表者 |
吉岡 貴芳 豊田工業高等専門学校, 電気・電子システム工学科, 教授 (30270268)
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研究分担者 |
大野 亙 豊田工業高等専門学校, 電気・電子システム工学科, 准教授 (60321444)
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研究期間 (年度) |
2022-11-15 – 2028-03-31
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キーワード | 英語多読 / 読解力向上 / 学習レベル / 学習状況モニタ |
研究実績の概要 |
英語読解の流暢性を高めるためには,英語多読学習により個々の学習者の学習レベルに応じたレベルと学習者の興味あるジャンルの教材を,学習者ごとに用いることが重要であることが多くの教育実践者により明らかになっている。一方で,指導経験の少ない教育機関で学習する学生や地域図書館を利用して個人で学習する社会人に対しても,ICTやアプリ等を活用することで,学習支援に役立つものと期待されている。今年度は研究の1年目であるため,他の教育機関の実践者の指導方法や成果の収集,および勤務校の図書館での学生約200名の1年間の英語多読授業実践による学習状況把握とデータ収集を主目的として研究を行なった。 第6回Extensive Reading World Congressに参加し,他の教育機関の実践者の指導事例を入手した。会議では複数の実践者が,学習者が自らの学習レベルよりも高いレベルの図書を読む傾向があるが,流暢な読解力を向上させるためには,学習者はレベルに合った,またはより簡単で読解が容易なレベルの教材を多く読むべきであることが,読解試験の結果から統計的にも明らかであると報告していることがわかった。 授業実践したクラスは別学年であったため,6レベルの学年に渡る幅広い学習レベルの状況をモニタすることができた。また,全200名の学生個別に,5分から10分程度の口頭インタビューを対面で行い,学習レベルの推定を焦点におき,読書の理解度や読書が続く条件等を問うと同時に,当該学習者の過去の読書履歴を参照し,かつ授業実践者の過去の経験をもとに学習レベルの推定を試みた。年度末には,中級レベルの2クラスの年間30回の学習記録を入手した。インタビューおよび学習記録より,図書の難易度や語数,および読書後の評価だけでなく,ある期間中の学習回数や読書語数が学習レベルの推定に有効ではないかとの仮説を得るに至った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
今年度は入手した学習記録を電子化するに至っていないためである。そのため,次年度は入手した学習履歴データをコンピュータへ蓄積し,様々な機器から検索が可能なデータベースおよびユーザインタフェースを作成する予定である。
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今後の研究の推進方策 |
今年度の授業実践や他の教育機関の実践を調査した結果より至った「一定期間中に読んだ読書量が学習レベル推定に有効である」,という仮説を検証する。すなわち,学習レベル推定に必要な項目として,学習者の読書の累計読書量,ある時点で読んでいる図書の英文のレベルと語数,読書後の理解度に加え,ある期間中(例えば,1週間の授業ごとの期間内)に読んだ読書の回数や読んだ読書の量を用い,SVM (Support Vector Machine) 等の機械学習的アプローチによる分類手法により学習レベル推定アルゴリズムを作成し,同アルゴリズムの評価を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度は入手した学習記録を電子化するに至っていないためである。そのため,次年度は入手した学習履歴データを蓄積し,様々な機器から検索が可能なデータベースおよびユーザインタフェースを作成するための,コンピュータ等を購入する予定である。
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