本研究は、英語絵本の読み聞かせ活動が大学生ボランティアの情意面と英語力に与える影響、および小学生と教師の反応を明らかにすることを目的とした。2022年度と2023年度の2年間、大学の学期中(前期と後期)に、合計15名の学生が月三度の読み聞かせ練習と月一度の小学校での読み聞かせを実施した。参加学生は主に英語力向上を目的に活動に参加し、ビデオ評価(活動前後の読み聞かせを撮影し2人の評価者により評価)の結果、発音やイントネーション、そして読み聞かせのパフォーマンスが向上したことが確認された。一方、英語力テスト(CASECおよびCASEC Speaking)では大きな変化は見られなかった。しかし、全員が活動を有意義と評価し、英語を使う機会が増えたことを実感したことがわかった。 小学校の児童や教師の反応も肯定的なものだった。2022年度の調査で、二校の4年生の児童(合計171名)のうち約75%が、それまで英語の絵本を読み聞かせしてもらった経験がなかった。2022年度と2023年度に二校合わせて合計280名の4年生に読み聞かせを行ったが、対面で実施した小学校の児童(173名)の98%が、またオンラインで実施した小学校の児童(107名)の84%が、この大学生による英語絵本の読み聞かせが楽しかったと回答した。また、対面で実施した小学校の児童の98%が、オンラインで実施した小学校の児童の86%が、この大学生による英語絵本の読み聞かせをこれからも続けてほしいと回答した。教師からも、児童が興味を持って積極的に参加していたことが確認され、この活動が快く受け入れられたことがわかった。ただし、月1回の活動時間を確保することが難しいという課題も指摘された。 これらの結果から、大学生と小学生の双方にとって有益な要素が確認され、この取り組みを改善しながら継続する価値があると考えられる。
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