研究実績の概要 |
2021年度は、Douglas Biberを中心に行われてきた様々なレジスターで多用される英語の語彙・統語・語用論特性に関する一連の研究(Biber, 2006; Biber et al., 1999; Biber, Conrad & Cortes, 2004; Biber, Connor & Upton, 2007; Biber & Gray, 2016)等を精査し、英語の口語体と文語体で多用される文法特性を把握した。 さらに、これらのコーパス研究を基にBiber et al. (2011)が提唱した文法特性の5段階の発達指標(Hypothesized Developmental Stages for Complexity Features)(Biber et al. 2011, p.30)を検証し、この指標の問題点を明らかにした。その1つとして、この文法指標で示された5段階が、より広く使用されている英語能力指標(CEFR,TOEIC等)と関連されておらず、現場の英語教員にとって、Biber et al.が提唱した文法特性指標がどの熟達段階の学生が修得しておくべき項目なのかが不明であることを指摘した。 そこで、Biber et al.(2011)が提唱した5段階の熟達度で示された文法特性をCEFRの6段階で示されたEnglish Grammar Profile (EGP)の文法特性と関連付け、Biber等が提唱した文法特性がCEFRのどの段階の学習者が修得すべき項目であるかを示した。さらに、これら2つの文法指標の違いを指摘し、Biber等によって提唱された文法特性を大学におけるCLIL授業等を担当する教員が理解しておく必要性を指摘し、それらの文法項目の教育的意義を示唆した。
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