研究課題/領域番号 |
21K00728
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研究機関 | 群馬大学 |
研究代表者 |
川島 智幸 群馬大学, 大学院保健学研究科, 准教授 (70759050)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 非母語話者英語 / 聞き取り難易度 / なまりに対する態度 / 英語を話す自信 |
研究実績の概要 |
2022年度(2年目)は、新たに作成した50問(C・D問題)のリスニングテストを大学(3校)と高校(1校)で実施し、大学1-4年生(191人)と高校2-3生(129人)からデータを得ることができた。また、母語話者英語と非母語話者英語の聞き取り難易度の違いを明らかにするため、約6か月間隔を空け、59人の大学生に1回目は非母語話者による音声を、2回目は母語話者による音声を用いC・D問題の聞き取りテストを実施した。さらに、なまりに対する肯定的な態度育成のための予備調査として、大学生103人に英語や英語使用者、なまりに関する認識調査を行った。 加えて、当初2023年度に予定していた上級者向け教材の開発にも着手した。100語程度の文章を聞き、その内容について答えるセンター試験リスニングテスト問題30問の再現のため、新たに非母語話者10人による吹き込みを行った。非母語話者は既に録音に参加した20か国以外で、日本人が接する可能性がより高い国の出身者から選んだ。 また、当初の計画には含まれていなかったが、既に公開済みのA・B問題50問を使って2つのデータ集めを行った。一つは、自由な音声選択が学習者の非母語話者英語リスニングに対する抵抗感を低減させるかどうかを調べる調査で、大学生100人に4週間オンライン教材を使ってリスニング練習を行い、母語話者によるオリジナル音声と非母語話者による再現音声のどちらをどのように選んだか、またその感想を報告してもらった。もう一つは、A・B問題50問と、新たに作成したC・D問題50問の難易度比較のため、大学生28人にこれら100問に非母語話者による再現音声を用いて解答してもらった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2022年度に計画していた、大学と高校でのC・D問題を用いたリスニングテスト、母語話者音声と非母語話者音声の聞き取り難易度比較、なまりに対する肯定的な態度育成のための予備調査は、予定通り終了した。さらに、元々2023年度に行う計画だった上級者向け教材開発に予定を早めて着手し、非母語話者10人による30の英文の録音を終了した。一方で、2022年度に計画していたポーズが再現音声の理解に及ぼす影響は、2022年度は実施できなかった。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度(3年目)は、なまりの強さの評価と、A・B・C・D問題の聞き取り難易度との関係を明らかにする。次に、2022年度に録音まで終了した上級者向けE・F問題30問を完成させ、大学生を対象に難易度調査を行う。その後2023年度末を目標に、C・D問題50問とE・F問題30問(合計80問)を、これまでに集めたデータをもとに難易度順に配列し、オンライン教材として公開する。また2023年度は、2022年度に行った大学生の英語に対する認識調査の結果をもとに、英語や英語使用者、なまりを正しく理解するためのクイズと解説を作成する。そして2023度末のリスニング問題の拡充に合わせ、英語なまりに対する肯定的な態度の育成に役立つタスクをホームページに掲載する。
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次年度使用額が生じた理由 |
学会がオンラインで開催されたことにより、旅費の支出が少なくて済んだ。また、消耗品の購入と調査用資材の送付にかかる費用が当初の予定より少なかったため、次年度使用額が生じた。なお当該助成金は、2023年度末を目標に進めるオンライン教材拡充費用の一部に充てる計画である。
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