日本国内に在留外国人が増加傾向にある中、医療機関での受診する機会が増えるにつれて、医療従事者の外国人患者に対応する医療体制の整備が求められている。本研究は、現行の医学英語教育プログラムの中で、外国人患者が持つそれぞれの文化を理解し、良好な関係を築くために必要なスキルの習得にする際に起こりうる問題点を明らかにし、改善したプログラムを提案することである。今年度は、海外臨床留学の欧州へ渡航した報告書から留学における学びについて、データ化し、解析を行なった。昨年度のアジア圏への留学同様に、北米への留学と比較して学びバリエーションが少なかった。医療システムの違いではなく受け入れ国はいずれも英語が第一言語ではないため、患者とのコミュニケーションなど通訳を介しての理解から量的な情報獲得が英語圏での実習に比べて減少するのではないかと推測する。しかしながら、専門的知識についての理解には、大きな差が認められなかった。アジア圏、欧州へ留学した学生らは、医学英語教育において医学用語(Terminology)を学習していたことが役立ったと考えられる。臨床実習留学の報告書内において、英語圏でない地域での外国人患者の対応を体験する機会が認められなかったが、北米ではスペイン人の患者対応の報告が複数見られた。この場合、医師がスペイン語を話す機会があったり、医師自身がその文化について学んでいるなど報告書に記されていた。日本における在留外国人には、英語が第一言語でない人も多い。医療にかかわる言葉について全ての言語で対応することは困難である。日本語と代表的な公用語である英語での診療におけるコミュニケーションの方法を獲得することで、患者が安心できる医療を提供するための共通なコミュニケーション方法を見つけることは重要であることが推測された。
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