研究実績の概要 |
本研究の目的は、母語にはない音素配列から成る未知語の学習が可能なのかどうかを検証することにある。Bernard (2017)の研究をもとに、第二言語学習者が無意味語(CVC)を学習する際に、頭子音と尾子音、および音節間をまたぐ子音の共起(CVC. CVC)も学習しているかどうかを調査した。2021年度に引き続き、Bernard (2017)の研究をもとにさらに3つの実験を日本語母語話者に行った。 子音母音子音の音節(CVC)からなる2音節語に、4つの子音(F, P, D, Z, K, V)を頭子音および尾子音に固定(e.g., baF.Pev)し、960の無意味語の音声を作成した。そのうち48の無意味語をトレーニング段階で2回調査参加者に聞かせた。実験段階では、以下の3つの実験の条件のもとで作成した無意味語をトレーニング段階の無意味語と併せて提示し、「前に聞いた語か」どうかを選択させた。Yesと回答する率(誤答率)が高ければ、トレーニングで使用した対象子音の音節内位置の生起制限、または音節間の子音共起の制限を学習し、一般化したとする。 実験1では、対象子音の出現位置が単語内中間で、音節間子音共起がトレーニング同じ単語 (e.g., beF.Pev, tiD.Zeb) と異なる単語 (e.g., tiF.Zet, teD.Pev) を提示した。実験2では、対象子音の出現位置が単語の端で、音節内位置がトレーニングと同じもの(e.g., Zev.buF, Peb.teD)と異なる (e.g., Fev.teZ, Det.vuP)ものを提示した。実験3では、対象子音の出現位置が単語内中間で、尾子音がトレーニングと同じもの(e.g., beF.Zek, tiD.Peb)と異なるものを (e.g., vuK.Zek, tiV.Pet)提示した。 上記3つの実験の結果を分析し、成果をまとめた。
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