本研究の目的は、大学の英語科教員養成課程において英語学習で顕在化するディスレクシアがどのように認識されているかを明らかにし、英語科教員養成課程における修得内容を検討することである。本研究では、大学の英語科教員養成課程を、教員や学生を始めとする多様なアクターから構成される一連のプロセスと捉える。各アクターは、このプロセスのなかで相互作用を反復し、ディスレクシアに関する自らの認識を形成する。本研究では、英語科教員養成課程を構成する3つの主要なアクター、すなわち同課程を履修する大学生、同課程を担当する大学教員、及び職員の認識に着目する。2年目となる2022年度は、COVID-19の影響により研究計画の大幅な変更が必要となった2021年度の遅れを取り戻すべく研究を行った。具体的な内容は以下の通りである。 (1)英語科教員養成課程を履修する大学生の英語ディスレクシアに関する認識とその形成:大学の英語科教員養成課程を履修する学生を対象に聞き取り調査を 行ったところ、ディスレクシアに関する知識が不足しており、ディスレクシアのある英語学習者に対する指導に関する研修プログラム、特に英語学習初期の音韻認識や音と文字の連関に関する指導に関する研修の実施が必要であることが明らかになった。そこで、2022年度は主に当該研修プログラムの構築と予備的実施を遂行した。これは当初の研究計画から変更があった点である。 (2)英語科教員養成課程を担当する大学教員および職員の英語ディスレクシアに関する認識:質問紙によるアンケート及び半構造化したインタビューを行うために、関連する研究の文献渉猟を実施し、質問紙の内容を精査した。特に職員に対する調査については、調査実施方法に更なる検討が必要なことが明らかになった。 (3)学会等への参加による情報共有を行った。 (4)研究成果を論文により公表した。
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