研究課題/領域番号 |
21K00742
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研究機関 | 専修大学 |
研究代表者 |
新田 晴彦 専修大学, 商学部, 兼任講師 (80424323)
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研究分担者 |
岡崎 弘信 秋田県立大学, 総合科学教育研究センター, 教授 (80405084)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 航空英語 |
研究実績の概要 |
2023年度に実施した活動は以下の通りである。 2022年度からの継続課題であるリスニング調査用の試験システムのバグを調査し、その解消に努めた。 米国の国際空港での管制通話の収録を実施した。予算の都合上、サンフランシスコ国際空港とダニエル・K・イノウエ国際空港の2箇所に絞った。収録対象はタワー・コントロール、グランド・コントロール、アプローチ・コントロール、ディパーチャー・コントロールの主要な通話である。これらの通話音声をテキスト化するため、収録地の空域に精通している航空学校と交渉を試みた。航空英語の特殊性を考慮し、一般的なトランスクライブ業者ではなく、航空学校が適切であると判断したからである。しかし、米国の人件費の高騰と近年の円安の影響で見積もりが当初の予算を大きく上回り、交渉は合意に達することができなかった。そのため、テキスト化作業はAIを用いて行う方向にシフトし、生成AIの開発を進めることとした。 航空管制の音声をテキスト化する生成AIの開発を進めた。このAIの開発は、人間のリスニング能力を評価するための有意義な知見を提供すると期待している。開発は専門家の指導のもと、プラットフォームの準備を行い、「教師あり学習」の手法を採用した。必要な音声データと正解データとなるテキストの作成を開始し、初期段階として約1万件の音声とテキストのペアを用意した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
収録した録音音声をテキスト化する交渉を、管制通話を日常的に行っているフライトインストラクターを抱える米国飛行学校おおよそ10社と行ってきたが、先方の見積もりと予算に大きな乖離があり交渉を成立させることができなかった。米国の人件費の高騰は航空業界にも及んでおり、それに拍車をかけるような円安によって生まれた金額の差を埋めることができなかった。この交渉に時間をとられ、研究実績の概要にも述べた通生成AIの開発へと舵を切るタイミングが遅くなってしまった。しかし生成AI用のプラットフォームの準備はほぼ終わり、機械学習用のデータも準備が進みつつある。
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今後の研究の推進方策 |
航空管制音声の認識用生成AIの機械学習を優先的に進めていく。(1)機械学習用のデータを増やすこと、(2)学習の進み具合を定期的にテストしていくこと、この2点を平行して進めていく。機械学習させたデータ量とテストの結果から生まれる知見は、被験者を用いたリスニング試験結果を補佐すると考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
航空管制の収録音声をテキスト化する作業を中止したため予算の執行が行われなかった。この予算は生成AI開発に振り向け、データ生成、機械学習の実施、及びテストを行っていく。
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