研究課題/領域番号 |
21K00745
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研究機関 | 南山大学 |
研究代表者 |
森山 幹弘 南山大学, 国際教養学部, 教授 (50298494)
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研究分担者 |
原 真由子 大阪大学, 言語文化研究科(言語社会専攻、日本語・日本文化専攻), 教授 (20389563)
降幡 正志 東京外国語大学, 大学院総合国際学研究院, 准教授 (40323729)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 外国語教育 / 外国語教材研究 / インドネシア語 / コーパスデータ |
研究実績の概要 |
これまで10年間にわたるインドネシア語の教材研究の成果を踏まえ、インドネシア語の応用教材の開発の実践と課題について研究を進めている。 具体的には、すでに研究成果として発表している『インドネシア語基本文法』の記述において取り上げた文法項目及び例として取り上げた語が、実際の文の中でどのように使われているかについて研究する中で浮かび上がってきた問題や課題、また『インドネシア語基本文法』で例として採用した例文が果たして適切であったのか、ある語が文の中でどの語とどのように共起するのかなどについて、応用教材の開発を目指し具体的な作業を行う中で見えてきた問題点を議論してきた。 その開発のためのコーパス・データやコンコーダンス・ソフトの活用の実践から見えてきた課題や問題点などを具体的に示しながら研究を進める一方で、より広い視野から応用教材の課題について研究することにより、日本のインドネシア語教育における応用教材の開発に資することを目指している。編纂作業を進めている用例集を基礎材料として、次なるステップである活用辞典の編纂へ向けて研究を進めていく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度が本研究テーマによる共同研究の初年度であった。概ね計画通りに研究を進めることができた。2021年秋には日本インドネシア学会の研究大会で3名が中心となりテーマ発表を行った。今回のテーマ発表を通じて、今後の計画がいっそう具体的になってきたと言える。その発表は『インドネシア語基本文法』の編集から始まり、さらに応用教材の開発を目指して用例集の編纂へと向かって進めてきた8年間の共同研究の一つ節目となった。 その発表を通じて、これまでの研究で明らかになってきたこと、特にコーパスデータを利用した膨大な作業から見えてきたことを整理できたという意義があった。さらに、用例集の編纂という研究成果の発信について課題がより明確となり、その成果を基に編集作業を進めているところである。 具体的には、用例集のレイアウトについてのイメージを固めることができたことが大きな成果である。そのイメージに沿った新しいフォーマットに改訂し、およその形式を整えることができたことで大きく前進した。 今後は、これまでそれぞれの研究者が分担して収集した派生語の用例を新しいフォーマットにまとめ直すことが必要となる。
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今後の研究の推進方策 |
昨年度を通して作業フォーマットに従ってまとめてきた用例の問題点を踏まえて、対象語について統語的、構文的な特徴をどのように記述するかについて、引き続き今後も議論する必要がある。特に課題としては、用例を整理して対象語や共起語の分類を進めようとしても、「品詞」「語構成」「文法機能(統語的機能)」「(動作主や動作対象などといった)意味役割」など、さまざまな観点があること。つまり、対象語が名詞の場合には、動詞とは異なる文法機能や共起を見せるため、形式(形態)と機能、意味はそれぞれ別レベルであるが、それぞれが互いに関連し合うこともあり、機械的に整理するのは難しいことが明らかであり、それを踏まえた用例集のイメージと作業フォーマットを適宜見直しながら研究を進めていく必要がある。 この点に留意しながら用例集の編纂の作業のペースを上げ完成を目指していく。『基本文法』の時と同様に、今回もまずは試行版として研究者に限って公開し、問題点を整理し修正を行っていく計画である。そして、次なる目標である『インドネシア語活用辞典』の編纂に向けて研究を引き続き進めていく方策である。
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次年度使用額が生じた理由 |
計画していた国外での文献調査が新型コロナ感染症による海外渡航の制限によって実施できなかった。 執行できなかった旅費については、次年度に実施予定である国外での調査に使用する。
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