研究課題/領域番号 |
21K00746
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
渡辺 彰子 立命館大学, 言語教育センター, 嘱託講師 (70579466)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 異文化間コミュニケーション / コミュニケーション方略 / トランザクト対話 / 異文化間理解 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は,相互理解のある「対話」に焦点をあて,道徳性発達理論を枠組みとしたトランザクト分類法で会話を分析することにより,異文化間相互理解を深める対話のメカニズムを解明することである。従って,異文化理解を深めるための対話方略を提示するために,異なる視点から様々な現場を観察し,言語使用について分析を行った。 2021年度においては,異文化理解を深めるための学習を行う二つの現場に入り,教室観察を一学期間行った。一つめの現場は,日台の異文化理解を中心とした遠隔共同授業であり,主に学生間の対話について,分析を行った。二つめの現場は,異文化に興味があり,異文化理解を主とした教育や研究活動を継続している英語科教員が教える小学校の英語の授業である。 これにより,まず,異文化理解を促すための授業がどのように行われているか,学習者が異文化理解をどのように考えたかの経緯について,分析を行った。これら現場から得られた知見から,異文化理解に関連する研究発表を行った(国内発表2件,国際発表4本)。また,日台遠隔共同授業を観察した現場における日本人学生の異文化理解に関する意識の変化を論文に投稿した。国内外の学会発表がオンラインで開催されたため,本研究に関連のある学会発表に参加するよう努めた。この中で学習者が異文化理解を深めるための対話方略として行っている活動やインタビューデータの内容に焦点を当て,分析を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2021年度はコロナ禍のため,オンライン授業が大半を占めた。これにより,学内で行う予定であった最新研究動向調査や分析など,代表者が所属する大学の学内施設にて行う予定であった映像の確認や書きおこしの依頼が遅れてしまった。所属大学へのアクセスが長期間できなかったため,データ書きおこしの依頼が困難となってしまった。同時に,異なる2つの教育現場に介入しているため,データの整理に時間を要する点もある。分析者などと対面で話し合う予定であった話段分類,項目別定義の明確化などに関する意見交換などもできなかったため,研究が予定通りに進まなかった。
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今後の研究の推進方策 |
2022年度は,第一に,本研究に類似する先行研究がコロナ禍で増えたことが予測されるため,新たに専門分野の追加し,異文化理解におけるよりよい分析方法を探る。次に,学内で行う予定であった映像分析,および教員の発話分析を継続する。第三に,質的ソフトウェアを用いた細かい項目分析を開始する。 異文化間で行われた学生同士の対話は表面的な対話になる傾向があり,話題の内容により学生の発話量が大きく影響を受けるという問題点があった。コロナ禍によるオンラインを用いた学習者同士の発話事例も増えていると予想されるため,異文化間相互理解を深める対話の事例研究を探すために多くの文献にあたり,比較検討を行う。様々な事例から項目の妥当性を考慮し,質的ソフトに事例別に登録を行う。これにより,異文化理解を深めるための対話方略の概要を掴む計画である。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍のため,国内および国際学会がオンラインで開催されたことにより,本研究のための研究旅費としての支出が減った。また,学内に滞在する時間を制限されていた時期があるため,データ分析やアルバイトの依頼などが滞っていた。次年度は、これまで先送りになっていた分析を再開する予定である。さらに,支出できなかった研究旅費を使用し、学会発表や学会参加をする予定である。
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