研究課題/領域番号 |
21K00751
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研究機関 | 秋田工業高等専門学校 |
研究代表者 |
菅原 隆行 秋田工業高等専門学校, その他部局等, 教授 (00331968)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | グラスピング法 / TOEIC / 20秒レスポンス法 |
研究実績の概要 |
昨年度(2022年度)において、「グラスピング・アンド・レスポンス法STEP1・STEP2」を試験的に授業に導入した結果、TOEICスコアの学年平均点が2021年度よりも下がった。そのため、「グラスピング・アンド・レスポンス法」の検証と内容の改善を行い、2023年度においては、TOEIC対策を行っている授業において、1年間を通して「グラスピング・アンド・レスポンス法STEP1・STEP2」を実施した。その結果、2023年度のTOEICスコアの学年平均点は、前年度の2022年度とほぼ同水準という結果だった。 さらに2023年度は、海外留学派遣者を対象として、「グラスピング・アンド・レスポンス法STEP3」をスピーキングの課外授業の中で実施した。これは、20秒程度の比較的短い英文を聞き、その内容に対する適切な応答を自分で考えて英語で答えるトレーニングである。この段階での英語による応答に関しては、英文1~2文の比較的短い英文での応答でよいものとし、応答の内容が適切かどうかに重点を置くものである。これにより、英語の質問に対し、英語で応答する反応力を訓練するものである。この方法を用いてスピーキングのトレーニングをした学生に対して実施したアンケートにおいては、「とても役に立った・まあまあ役に立った」と回答した学生がほとんどであった。また、この課外授業後に実施したTOEICスピーキングIPテストにおいて、多くの学生が大学生平均を上回る結果を出した。 なお、2022年度の研究結果は、「『20秒グラスピング・アンド・レスポンス法』の導入とその考察」という題名で、全国高等専門学校英語教育学会研究論集に掲載された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
研究実績で述べたように、2022年度において、「グラスピング・アンド・レスポンス法STEP1・STEP2」を試験的に授業に導入した結果、TOEICスコアの学年平均点が2021年度よりも下がった。そのため、「グラスピング・アンド・レスポンス法」の検証と内容の改善を行い、2023年度において「グラスピング・アンド・レスポンス法STEP1・STEP2」の効果を再検証している。結果として、2023年度のTOEICスコアの学年平均点は、前年度の2022年度とほぼ同水準という結果が得られたが、結果として、「教材開発」において予定より遅れる結果となった。 また、「グラスピング・アンド・レスポンス法STEP3」の導入に関しても問題が生じている。この方法は、主に英語のスピーキング力の向上が急務となる海外留学派遣学生を対象にしていたが、コロナウイルスの流行により海外渡航が事実上不可能であったため、スピーキング力向上のための課外授業ができない状態にあった。2023年度から海外派遣が再開したため、やっと「グラスピング・アンド・レスポンス法STEP3」の効果検証ができる環境にはなった。しかし、コロナウイルスと急激な円安の影響により、海外留学希望者が少ないため、「グラスピング・アンド・レスポンス法STEP3」が効果的であるかを検証するためのサンプル数が十分ではない。
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今後の研究の推進方策 |
今年度は、次のような方針で研究を行う。 ①グラスピング・アンド・レスポン法STEP1・STEP2(リスニングの反応力向上のためのプログラム)をTOEIC対策授業において継続導入し、引き続きこの方法の導入効果を検証する。 ②グラスピング・アンド・レスポン法STEP3(スピーキングの反応力向上のためのプログラム)の学習希望者をなるべく多く募り、この方法の、より信頼性がある母集団の数のもとでの効果検証を行う。それと同時に、この方法の指導法の内容を、前年度よりも向上させる。 ③グラスピング・アンド・レスポン法に関する教材開発(できれば、インターネットを使って学習者が個人で学習できるシステム)に取り組む。 また、昨年度の研究結果、特にグラスピング・アンド・レスポン法STEP3(スピーキングの反応力向上のためのプログラム)に関する指導法の展開とその効果検証結果を学会にて発表し、一般に公表する。さらに、昨年に引き続き、本校以外の学校にも協力を要請し、グラスピング・アンド・レスポン法STEP1・STEP2(リスニングの反応力向上のためのプログラム)をTOEIC対策授業において導入、そして導入効果を検証する。
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次年度使用額が生じた理由 |
前年度から開始予定だった「クラスピング・アンド・レスポンス法」に関する教材開発が、上述の通り指導法導入効果の再検証を行うことに変更したため、教材開発に関する費用が未使用となった。今年度は「クラスピング・アンド・レスポンス法」に関する教材開発に着手する。近年の物価高騰の影響を受け、システム設計等に必要な費用が、本研究計画作成時よりも大幅に上昇することが見込まれるため、次年度使用額(前年度未使用額)と今年度の交付額を合わせた「当該年度の所要額」分の費用が必要である。
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