研究課題
令和3年度は、教室同期型対面と自宅等からの同期型遠隔を組み合わせたHyFlexClassの実施に向け、理論と実践の両面から研究を開始した。理論面では、国内外Hybrid-Flexible Course Designの先行研究や機関の報告を輪読形式で読み進め、海外の遠隔中国語教育研究者と経験交流を行った。実践面では、科研研究者が各所属機関で中国語HyFlex授業を実施するに必要な物的・人的資源を補強した上で、令和3年度中に多数回のHyFlexClassを実施完了し、授業録画を収録した。録画視聴・討論後、分析に適した初級L2中国語HyFlexClassの録画をCase Studyとして選定し、遠隔教育の質的Benchmarkに準拠し、HyFlex授業における教員・学生の教学活動の分布特徴を定量的に明らかにした。録画分析の結果、本クラスはMoodleとICT利用による授業前後・授業中のStudent-Contents Interactionが有効に機能し、HyFlex授業の順調な運営を担保していることが分かった。対して授業活動におけるStudent-Teacher Interactionの比率は高いものの、内容は単調な指示とReflectionが多い。Student-Student Interactionは少なく、オンライン授業以前の対面外国語授業と共通する課題を示唆する結果となった。本中国語HyFlexClassのClassroom action research結果は、教員が自身の授業を振り返り、活動配分の置換により教学改善に活かす比較参照データとできる。本年度の研究結果は、国内学会ワークショップ開催、国内外学会発表、論文および著作執筆などの形式で、成果の公開を行った。
2: おおむね順調に進展している
令和3年度研究計画のうち、HyFlex語学授業実施に必要な物的・人的資源の補強は、経費の制約により充分とは言えない支援に留まったが、授業担当教員の創意工夫により、HyFlexClassを多数回実施することができた。また当初予定していた遠隔Host 対 Remote 間のマルチモーダル相互行為データの取得は、これも経費不足でアイトラッキングを使った視線計測等を断念し、主に音声・録画画像からの情報に依拠し分析することになったが、理論とBenchmark選択により順調にClassroom action researchを進め、一定の成果を確認できた。得られた知見を基に、次年度以降のHyFlex型授業の相互行為検証とComputer Simulationに基づく実践応用に向け討論を重ねている。
すでに分析済の初級L2中国語Classroom action research分析結果と、平素の自身の授業における教員・学生の行為活動の配分を比較・対照し、より対話の多い授業実現に必要な行為活動の配分比率の見直しと、学習者へのScaffolding(足場かけ)の量、およびInteraction Designとの相関について分析を進める。操作性のある有力な定量分析法として、相互依存性を考慮した解析手法の応用を検討する。その後、遠隔教育理論および実践経験と照合した質的分析を加え、Computer Simulationにより対面・遠隔間の双方向性確保に最尤のHyFlexClass Modelの構築を目指す。他方、コロナ感染状況が落ち着く中、本科研で授業を担当する3教員の所属機関でも令和4年度新学期から対面授業の比率が高まり、HyFlex授業の実施が難しくなり、本年度に計画するHyFlex型授業のComputer System構築に必要な生データの収集に支障がでる恐れがある。対応策として、現在も継続して中国語HyFlex Classを実施する外部の教員にデータ提供を依頼し、研究を遂行することを検討する。
授業録画分析の一部を海外研究機関に委託し行う計画であったが、コロナ感染防止期間で細部の打ち合わせを対面で行うことができず、また国内データの前処理が間に合わず、これらに必要経費を次年度に繰り越すことになった。
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言語処理学会第28回年次大会Proceedings
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Proceedings of the 11th International Conference on Technology and Chinese Language Teaching
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日本中国語学会第71回全国大会予稿集
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