研究課題/領域番号 |
21K00781
|
研究機関 | 北海道教育大学 |
研究代表者 |
笠原 究 北海道教育大学, 教育学部, 教授 (50439006)
|
研究分担者 |
竹内 典彦 北海道情報大学, 経営情報学部, 教授 (20364284)
岩田 哲 北海道武蔵女子短期大学, その他部局等, 教授 (30789706)
田中 洋也 北海学園大学, 人文学部, 教授 (70521946)
金山 幸平 北海道教育大学, 教育学部, 特任講師 (80850081)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
|
キーワード | 分散学習 / テスト効果 / 累積テスト / ランダム選択テスト |
研究実績の概要 |
4つの研究課題のうちの2つについて実験を実施し、データを取って分析することができた。 1つ目は課題アの「分散学習と集中学習の学校現場での比較検証」である。国立中学校の2年生3クラスに対して1クラスに集中学習型の語彙指導、2クラスに分散学習型の語彙指導を3週間にわたって行い、その指導結果を比較した。集中学習型クラスでは、セクションごとに現れる語彙項目のみを取り上げて、それらを集中的に学習させた。分散型学習クラスでは最初からすべての語彙項目を導入し、短時間ではあるが毎時間すべてを繰り返し学習させた。総学習時間は各クラス同じくなるよう調整した。レッスンの指導が終わった後で、日本語の意味を問う直後テスト、2週間後に同じ遅延テストを実施した。直後テストでは分散型学習クラスが集中学習クラスを上回ったが、遅延テストではその差は消えていた。個人学習でどちらのクラスも高得点を取るようになり、天井効果が確認された。次年度はまた別の公立中学校で追試を行う予定である。 2つ目は課題ウの「累積テストとランダム選択テストの比較検証」である。参加者には50の英語ー日本語ペアを覚えてもらい、毎週1回ずつ、5回のテストが課される。毎回10個の英単語の日本語の意味を問うテストである。累積テスト群は、最初に指定された10語がテストされ、次に新たに指定された10語を加えた20語から10語をテスト、3回目は30語から10語をテスト、4回目は40語から10語、最後の5回目に50語から10語がテストされる。一方ランダム選択テストでは、毎回50語すべてがテストの対象となり、そのうちランダムに10語の意味が問われる。これが5回繰り返される。その後50ぐすべての意味を問う直後テスト、2週間後に遅延テストが実施された。その結果どちらでもランダム選択テスト群が累積テスト群を有意に上回った。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
コロナ下でなかなか実際の教室での実験が難しい状況ではあったが、研究分担者の協力により想定以上に研究を進めることができた。4つの課題のうち2つについてデータを得られたことは大きな収穫であった。課題アの「分散学習と集中学習の学校現場での比較検証」については、学習状況が良好な国立中学校での実施のため、両社とも天井効果がみられた。したがってほかの公立中学での実施を今年度に計画している。 課題ウの「累積テストとランダム選択テストの比較検証」では、ランダム選択テストの優位性が明らかになってきた。この結果をまとめ、2つの論文にまとめることができたことも予想以上の進展であった。そのうち1つは全国英語教育学会誌ARELEの33号に掲載された。 後2つの課題が残っているが、これからまだ3年間が残されているので十分に期間内に進めていくことが可能である。できればこれから2年で計画した実験を終了し、最後の1年は結果をまとめた書籍出版に向けて尽力したいと考えている。
|
今後の研究の推進方策 |
課題アに関しては想定していた分散学習の優位性が確認できなかった。これは実験を行った集団の特異性に原因があると思われる。今年度はまた別の集団を使って追試を行う予定である。 また、今年度は昨年実施できなかった課題イ「分散学習におけるインターバル活動の比較検証」と課題エ「個人学習とペア学習にけるテスト効果の比較検証」を行う予定である。コロナ状況も改善し、研究者の所属する大学でも対面授業が再び可能でなってきたので、十分実施可能であると予測している。データを回収し、分析して結果をまとめたい。 論文に関しては累積テストに関するものがもう1本書きあがっているので、できれば海外の学術誌に投稿したいと考えている。
|
次年度使用額が生じた理由 |
コロナ下にあって、参加予定の学会がのきなみオンライン開催になり、旅費としてあまり使用できなかった。次年度以降はその分を使用して学会発表等を行っていく予定である。
|