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2022 年度 実施状況報告書

イタリアの複言語主義にもとづく移民児童生徒への教育政策とその実態

研究課題

研究課題/領域番号 21K00789
研究機関大分大学

研究代表者

西島 順子  大分大学, 教育マネジメント機構, 講師 (80879065)

研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2024-03-31
キーワード複言語主義 / 複言語教育 / plurilinguismo / 民主的言語教育 / イタリアの言語教育政策 / トゥッリオ・デ・マウロ / 移民児童生徒
研究実績の概要

本研究は1970年代に他国に先んじて、教育格差を是正するために複言語教育に取り組んだイタリアの言語教育政策の今日までの変遷を振り返り、複言語主義に基づく教育の有効性を資料と現地調査によって明らかにする。
2021年度の調査で、1970年代に提唱されたplurilinguismoを包摂する民主的言語教育がイタリアの言語教育政策に影響を与え続けていたこと、一方で現在の移民生徒への教育には欧州評議会の複言語主義に則って進められていること、それにより、イタリア固有のplurilinguismoは欧州の複言語主義と同義とみなされていることなどを明らかにした。
2022年度はこの研究結果を『複言語教育の探求と実践』の分担執筆し、発表した。
2021年度の研究を基盤に、現行の政策のもとで実施されている複言語教育の現地調査を行った。イタリアのなかでも移民の割合が高いミラノで、ミラノ市や教育局が取り組む移民包摂のための制度やその具体的な事例を教育関係者へのインタビュー調査や教育機関での観察から、以下の点を明らかにした。
1)ミラノ市の言語教育政策の実際を明らかにした。ミラノ市は法律や教育政策に基づき、市内を4区域に分け、それぞれにPoli STARTと呼ばれる事務局を設置している。Poli STARTがイニシアティブをとり、各教育機関や地域社会を連携させながら移民の社会包摂を推進していることがわかった。
2)Poli STARTが実践している「母語の日」の活動を調査した。生徒はその活動の中で少数者(移民)の言語や文化を学び、「母語の日」に区内の複数の教育機関が集う場で、その成果を発表する。この活動を通して、複言語・複文化教育が教育現場で具現化されていることがわかった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

2021年度は新型コロナ感染拡大で渡航が困難であったため、予定していた現地調査を見送っていた。そのため2022年度の9月に初回現地調査を行い、約1年遅れで研究は進行している。遅れは生じているものの、2度目の調査を2月に行い、現在はそれら収集した情報を急ぎまとめているところである。

今後の研究の推進方策

2023年度はこれまでのイタリアの言語政策に関する文献調査や現地調査の結果を論文としてまとめる。現在は現地の教育政策の資料、また実践の観察データやインタビューデータの収集が落ち着いたところである。それらを分析し、ミラノ市が行うSTARTのプロジェクトの有効性と限界、また実践されている複言語教育や異文化間教育の効果と問題点を考察し研究成果として論文や学会で発表する。また、年度内に国際研究集会を開催し、研究の成果を国内外の研究者と共有する。

次年度使用額が生じた理由

図書購入等が予定よりも少なく抑えられたため。その予算は次年度の図書購入、あるいは物品購入に充てる予定である。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2023 2022

すべて 雑誌論文 (1件) 学会発表 (3件) 図書 (1件) 学会・シンポジウム開催 (1件)

  • [雑誌論文] イタリア―今も生きつづける多様な言語2022

    • 著者名/発表者名
      西島順子
    • 雑誌名

      kotoba;集英社

      巻: 秋号49 ページ: 92-97

  • [学会発表] 「イタリアの言語教育政策に見られるイタリア固有のplurilinguismoとCEFRの複言語主義 」2023

    • 著者名/発表者名
      西島順子
    • 学会等名
      CEFR、CEFR補遺版の仲介(媒介)活動と複言語・異文化間教育の接点
  • [学会発表] 「民主的言語教育とデ・マウロの言語思想-イタリアのplurilinguismoにもとづく言語教育-」2022

    • 著者名/発表者名
      西島順子
    • 学会等名
      多言語社会研究会例会第91回
  • [学会発表] 「イタリアの言語教育における複言語主義の変遷―イタリア人生徒と移民生徒の教育政策のなかで―」2022

    • 著者名/発表者名
      西島順子
    • 学会等名
      日本言語政策学会第24回研究大会
  • [図書] 複言語教育の探究と実践2023

    • 著者名/発表者名
      西山 教行、大山 万容(共著:西島順子・第5章分担執筆)
    • 総ページ数
      192
    • 出版者
      くろしお出版
    • ISBN
      4874249426
  • [学会・シンポジウム開催] 国際研究集会2023「複言語主義の多元性をめぐって」2023

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公開日: 2023-12-25  

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