研究課題/領域番号 |
21K00794
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研究機関 | 東海大学 |
研究代表者 |
酒井 優子 東海大学, 国際文化学部, 准教授 (40780218)
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研究分担者 |
志村 昭暢 北海道教育大学, 教育学部, 教授 (60735405)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 英語教育 / 協働学習 / コミュニケーションタスク / 協働的対話 / 社会文化理論 / 意味交渉 / トランスランゲージング / オンライン上の会話 |
研究実績の概要 |
本研究は,オンラインによる協働学習中の学習者のやり取りを社会文化理論の視点から分析することを目的とする。2021年は,研究1年目として研究で使用するオンライン上で実施可能なタスクの選定の作業を行った。協働的対話において,できるだけ意味交渉が多く生じるコミュニケーションタスクについて理解を得るため,コミュニケーションタスクについての定義について先行研究を調査した。研究対象としている大学生の英語授業を想定し,Pica, Kanagy and Falodun (1993)のタスクタイプのうち,参加者が同じ情報について,協力して一つまたは複数の状況を解決することでタスクを完了する「意思決定タスク」に焦点を当て,その開発方法および評価方法について調査を行った。結果,「意思決定タスク」の中でも,加藤他(2020)に掲載されている悩み相談タスクを参考に,実際に悩み相談に関するwebサイトからB1レベルの学習者が行うことを想定するものを抽出した。タスクの検証のため,タスクの手順を記録した英語によるインストラクション動画を作成し,検証に参加する参加者がどのようなタスクかわかるようにした。タスク検証方法は,タスク参加者が,2,3人の1グループになり,異なる3つのトピックについて,グループで悩み相談への回答を一つ決めて,グループの代表者が全体に発表するものである。各タスクの終了後に全員にタスクの感想を述べてもらい,各タスクについての評価アンケートを実施し,タスクの問題点や特徴を明らかにした。また,タスク中のやり取りを記録したものを書き起こし,やり取りの特徴を明らかにした。今後は,タスク検証で明らかになったことを参考にタスクを修正し,実際のオンライン上の協働的対話の観察で使用するタスクの作成を行う計画である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
タスク検証方法の結果をまとめたのち,実際にタスクを修正し,オンライン上で使用するタスクの作成と選定に取り掛かる予定であった。しかし,新型コロナウィルスの感染状況が落ち着かず,大学での授業がすべてオンラインになったため,オンデマンド用の教材の作成に多くの時間を要し,研究を計画通りに進めることができなかったため。
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今後の研究の推進方策 |
タスクの検証で得た結果をもとに,研究で使用する意思決定タスクのトピックを選定する。参加者は大学生を対象とするが,学習者の英語の習熟度に差があることを想定し,難易度の異なるタスクを3種類作成し,検証する。また,研究参加者を共同研究者の協力のもと募集し,決定する。グループディスカッションは、4人一組を想定しているが,参加者の英語の習熟度やトピックになじみがあるかどうか,習熟度の違う参加者の組み合わせ方によっては,発話の特徴に違いが生じることを想定し,12から16名程度の参加者を募集する。研究参加者については研究の手順を詳細に説明し,同意を得たのち,発話のやり取りを記録し,どのような特徴がみられるか分析する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウィルスの影響により、購入予定の外国書籍を購入できず、残額¥14,604が生じた。
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