研究実績の概要 |
本研究は,小グループで協働学習に取り組むときの日本人英語学習者の協働的対話を観察し,タスクの遂行中どのような相互行為を構成しているかを調査した。学習者は目標言語である英語と母語である日本語を用いてタスクに取り組むのか,学習者のトランスランゲージングを観察し,日本語と英語が併用されるときはどのような場合で,相互行為の構築にどのように関わっているのかを考察した。具体的には,悩み相談に関わる意思決定タスクに取り組むときの学習者の日本語と英語の使用量と機能を分析した。 タスクの検証のため予備調査として実施した研究では,インターネット上に掲載されていた悩み相談を使用語彙,語数,トピックの馴染み易さから確認し,3つのトピックを選定した。調査参加者は,道内の大学院所属学生6名で,中学校教員が2名(C1) ,高校教員が2名(C1), 学部直進者2名(B2) (CEFRレベル参照)である。データ収集は全てオンライン上で行った。Group A (中学校教員1名, 高校教員1名, 学部直進者1名) と Group B (中学校教員1名, 高校教員1名, 学部直進者1名)は,提示された悩み相談の英文を各自読み (4分), その後, Group AはTopic 1と2, Group BはTopic 3のタスクに取り組み,悩み相談への回答を話し合って決め (5分), その回答をグループの代表者が全体で発表した。各グループがタスクを各自で読むところからグループの代表者が発表するまでを録画・録音した発話データを酒井・志村 (2021) で観察された発話機能に基づき共同研究者と2名でコーディングを行った。 本調査では,学部生4名(4名英語力が高い)と学部生4名 (1名が英語力高く, 3名が中程度) も調査に参加し,トピックや英語力,または所属の違いが,タスク中の発話量と機能に影響を与えるかを考察した。
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