研究課題/領域番号 |
21K00795
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研究機関 | 東海大学 |
研究代表者 |
加藤 和美 東海大学, 語学教育センター, 准教授 (60631801)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | ICT / 英語教育学 / クルーズ船 / インバウンド観光 |
研究実績の概要 |
本研究者が勤務する大学から4キロ離れた場所に、世界の主要港を定期路線で結ぶ国際貿易港、清水港がある。2014年に9万トンクラスの外国クルーズ客船が入港したことを皮切りに外国客船の入港が急速に増えた。本研究者は長きに渡り学生と共に英語観光案内プロジェクトを行ってきたが、実施する中で、実際に下船した外国人観光客から要望を聞き、最適な交通手段を選択し、最適な観光ルートを即座に作成するにはかなりの時間を要することがわかった。 そのため決まったルートを案内するだけにとどまりゲストの要望に応えることができないことが多々あった。また、コロナ禍により外国人観光客の入国が禁止され、学生による観光案内プロジェクトも実施できない状況となった。そこで、観光客の要望に臨機応変に対応できる力を養うための教授法の開発と、その練習をオンライン上で実践するための研究を始めた。本研究で作成した教授法や成果物を世界に発信することで国際観光事業への支援に繋げる。 研究1年目は、オンラインで海外の大学生を対象に観光地を案内、紹介する国際共同タスク活動のための教材を作成し、実施した。ホームページを作成し、本研究者が勤務する大学と提携している海外の大学の大学生を対象に観光プロジェクトを2回実施した。1回目は7月26日から28日まで行われたTokai Cool Japanのオンラインイベントの1日をグループ活動の機会として設け、観光地案内の練習を行った。清水港近くの水族館と焼津の鰹節工場のオンラインの実況中継を行ったのちグループディスカッションを行った。また、12月12日に国際フェアを開催した。学生が事前に観光地のPR動画を作成してホームページに動画をアップした。動画を観た後にグループごとに分かれ、海外の大学生が日本のどこに行きたいか、何をしたいかを英語で聞き出し、最終的に行きたい場所を投票するタスク活動を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ホームページ作成とオンラインにて国際交流が実施できたため。また、観光地の動画をYouTubeにアップする活動も1年前倒しで行うことができた。
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今後の研究の推進方策 |
研究期間の3年を通して、教授法とその教材の改良を続け、本研究者が勤務する大学の海外の提携大学とスケジュールを調整しながら国際共同タスク活動と国際共同プロジェクト活動を行う。1年目は開発したタスク教材を利用してオンラインで実践することができた。学生たちは海外の学生から行きたい観光地や経験したいことを聞き出しながらディスカッションを行った。タスク活動とは教員が提示した目的に向かって様々なタスクをこなしながら言語知識やコミュニケーション能力を身につけていく活動であった。2年目はタスクを中心とした活動(TBL)からプロジェクト学習(PBL)へと発展させた授業展開を研究し、オンライン交流会を再び実施する。プロジェクト学習PBLは、知識の習得を目的とするのではなく、学習者自身で計画を立て、遂行する能力を身につける学びである。学生が観光ルートを計画し、案内するまでをシミュレートできる授業教材作成と教授法をさらに開発し、学習者が繰り返し練習することで現場で臨機応変に対応できる力を養う。また、コロナが終息し、清水港に客船が入国するようになった場合は、国際共同プロジェクトをオンライン上で行った後に実際に観光客を案内してその様子を録画する。実践後に学生へのインタビューにより次の検証を行う。1.本申請者による録画のデータ観察により情報を得る、2.学習者へのインタビュー調査により情報を得る、3.プロトコル・データ分析方法により情報を得る。そしてこれらの検証により得た研究結果を国内外の学会にて発表する。
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次年度使用額が生じた理由 |
ホームページの作成の際に企業に委託する予定であったが、科研費研究が終わった後も引き続きホームページ維持を可能にするため、Googleで無料のホームページを作成した。セキュリティーを強化するため、交流会をする際には参加者のメールアドレス登録によりカレンダー中のURLを表示できるように設定した。来年度はホームページ作成のための予算を機材や周辺機器に回す予定である。また、コロナが収束しなかったため、旅費と人件費が発生しなかった。
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