研究実績の概要 |
本研究は,Involvement Load Hypothesis (Laufer & Hulstijn, 2001, 以下ILH)とTechnique Feature Analysis (Nation & Webb, 2011, 以下TFA)という2つの語彙学習における枠組みのうちがどちらが効率的な語彙学習・指導を考える上で有効なのか探索するものである。2つの枠組みは語彙タスクごとに数値化されており,それぞれ数値が高ければ高いほど,語彙学習を促進するとされている。これまでの先行研究では,日本の英語教育研究の文脈において,ILHとTFAを比較した実証研究がなされてこなかった。 これまでに行った予備実験の結果では,先行研究と同様にTFAがより良い枠組みとして機能する可能性が見いだされた。しかしながら予備実験の中で,使用された語彙タスクの負荷が高すぎるために,語彙の保持に至らない可能性が示唆された。具体的にはライティングのタスクを行う際,空所補充と英文作成のタスクをする際,後者の方が実行がやや困難であることが示された。そこで2023年度はどのような語彙タスクが参加者にとって取り組みやすいかを先行研究と指導の文脈をもとにして検討を行った。その結果,リーディングタスクに基づく実験の実行が望ましいと判断し,マテリアルの作成を行った。また,実際の授業において,語彙学習を促すための実践研究を行うことで,実践に根差した研究の充実を試みた。
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