研究課題/領域番号 |
21K00808
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
河上 麻由子 大阪大学, 大学院人文学研究科(人文学専攻、芸術学専攻、日本学専攻), 准教授 (50647873)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 遣唐使 / 隋の文帝 / 則天武后 / 後宮 / 国風文化 |
研究実績の概要 |
今年度は、日本古代文化における「唐」の内実を分析する前提として、日本史でいえば飛鳥時代から平安時代にあたる中国の、政治的・文化な変容をトレースする研究を行った。その成果として、論文(「『阿育王経』が梁武帝の崇仏に与えた影響について」『待兼山論叢』56、2023年3月、1-26頁)と共著(「隋の文帝」妹尾達彦編『アジア人物史 2ー7世紀 世界宗教圏の誕生と割拠する東アジア』集英社、2023年、237-308頁。「則天武后の権威の多元性」佐川英治編『多元的中華世界の形成 東アジアの「古代末期」』臨川書店、2023年2月、292-316頁など)を発表した。さらに研究成果を海外に発信するため、プリンストン大学で国際シンポジウムを開催(コ・オーガナイザーを務めた)するのみならず、国際学術講演二回(英語対面・中国語オンライン)を行った。 また本研究では、国風文化の特徴を、作り手であり消費者でもあった女性の存在感の大きさに求めており、分析の一環として日本の後宮システムを他東アジア諸国のものと比較している。その成果の一端を以て、国際シンポジウムにおける義江明子氏の講演へのコメントとして、日本古代の「双系的」とされる特徴を東アジア史の中で相対化することを試みた。 この他、「唐」文化導入の手段である遣唐使について、朝廷主導で組織的に知識が導入されていたことを、これまで先行研究ではほとんど使用されてこなかった「東大寺六宗未決義」という史料を用いて明らかにする論文を発表(共著)した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
コロナ禍下ではあったが、国際的に研究を発信する機会にも恵まれ、研究成果としても共著(4)や論文(1)を刊行することができた。ただし、国風文化研究を行う前提知識を整理することに思った以上に労力を割く必要があり、国風文化そのものを分析する原稿は刊行できなかった。そのためおおむね順調に進展している、と判断した。
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今後の研究の推進方策 |
国風文化研究の前提とするべき情報はおおよそ収集することができたので、次年度以降は、国風文化をアジア史に位置付ける作業を実施していく。その際、海外出張が可能な状況となってきたので、各国の情勢に十分注意しつつ、海外での研究成果発信と文物調査を実施する。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍により予定していた海外調査を行うことができず、旅費として計上していた予算を実施することができなかった。また、プリンストン大学からビジティング・アソシエイト・プロフェッサーとして招聘されており、当該大学にて国際シンポジウムなどに参加したため、その間には発表・講演のために国内外に移動することがなく、旅費として計上していた予算を使用することがなかった。 2023年度には、海外での教育は予定していない。また、コロナ禍での交通制限が緩やかになってきており、海外出張も比較的容易になっていると予測されるので、遅れていた国外・国内調査を実施し、また国内・国外での研究成果報告も積極的に行いたい。
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