研究課題/領域番号 |
21K00810
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
中島 楽章 九州大学, 人文科学研究院, 准教授 (10332850)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | ポルトガル / 東アジア海域 / 福建 / 琉球 / 九州 / 朝鮮 |
研究実績の概要 |
本年度は研究課題に関して、ポルトガル人の東アジア来航過程を中心に史料・文献調査とその検討を進め、その成果を査読誌に学術論文として発表した。 特に16世紀前期にポルトガル私貿易商人が南シナ海域から広東・福建に進出し、1540年代に琉球・日本・朝鮮に到達したプロセスについて、明朝・朝鮮・日本の史料や、ポルトガル・スペイン史料を総合的に利用し、福建南部の密貿易との関連を焦点として考察を進め、その成果を「ポルトガル人の東アジア進出とショウ州湾密貿易」(『東洋史研究』82巻4号、2024年)として発表した。 さらに1540年代におけるポルトガル人の琉球到達をめぐる伝承と、16世紀後期におけるスペインの太平洋上における金銀島探索との関連を、おもにスペイン語史料により検討し、その成果は「亜美尼亜商人到過琉球:大航海時代的金銀島伝承与琉球」(『澳門学』第3期、2024年)としてまもなく刊行される予定である。 また上記の研究と関連する学術報告を、第111回経済史研究会(大阪経済大学、2023年9月)、2023海洋史国際学術研討会(台湾中央研究員人文社会科学研究中心、2023年11月)、2023年度九州史学会東洋史部会(九州大学、2023年12月)などで行った。 以上を通じて、本課題についての研究を進めるとともに、その成果を国内外に発信することができた。特にポルトガル私貿易商人の東アジア海域への進出過程におけるショウ湾密貿易との関連については、従来の研究では十分に検討されておらず、ポルトガル私貿易商人の島嶼部を拠点とした密貿易の実態や、沿岸地域社会・海防軍兵士・郷紳層との関係を、漢籍・ポルトガル語史料の双方を活用して解明することができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は研究計画の最終年度であり、この4年間に研究課題に関連して、16世紀におけるポルトガル人の東アジア到来に関連する、漢文・和文史料、スペイン語・ポルトガル語史料、および和文・中文・欧文の研究文献の調査・検討を進め、従来の研究では十分に解明されていなかった。ポルトガル人来航のプロセスについて考察を進め、その成果を国内外の学術雑誌に研究論文として発表し、また国内外の学会においても学術報告を行ってきた。 これらの研究活動を通じて、本課題に関する研究を進展させ、従来の研究では十分に論じられてこなかった事実を明らかにし、ポルトガル私貿易商人の東アジア海域来航のプロセスを、16世紀中期の海域アジア史全体のなかに位置づけることができたと考えている。 その一方、本研究計画の最初の三年度では、おもにコロナ禍の影響により本来予定していたポルトガルにおける史料・文献調査を実施することができなかった。このため本年度はポルトガルに一定期間渡航し史料・文献調査を実施する予定であったが、研究・教育・講座運営などの業務多忙と過労により実施することができなかった。このため研究期間を次年度まで延長し、研究計画を遂行することになった。
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今後の研究の推進方策 |
本年度は本来であれば研究計画の最終年度であったが、ポルトガルにおける現地史料・文献調査を実施することができず、研究期間を次年度まで延長することになった。 このため今後は本年度までに行った研究の成果を踏まえて、ポルトガル人の東アジア来航に関する欧文・和文・漢文の史料及び研究文献の調査と検討をさらに進めるとともに、ポルトガルに半月程度滞在して、リスボン国立図書館などにおいて、16世紀を中心としたポルトガル人の海域アジア進出と東アジア海域来航に関する、ポルトガル語を中心とした欧文の史料・研究文献の調査を進めていく予定である。 その成果により、ポルトガル人の中国・琉球・日本・朝鮮来航のプロセスについて、総合的な計画を進め、近い将来にその成果を学術書として刊行したいと考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度はポルトガルに半月程度渡航し、リスボン国立図書館などにおいて、16世紀を中心としたポルトガルの海域アジアにおける航海・交易活動に関して、ポルトガル語を中心とした欧文の史料・研究文献の調査を行う予定であった。しかし研究・教育・講座運営などの業務の多忙及び過労などのため、予定していたポルトガルにおける史料・文献調査を実施することができなかった。このため予算の一部を次年度に繰り越すことになった。次年度にはポルトガルに半月程度滞在し、本課題に関連する史料・研究文献の調査をあらためて実施したいと考えている。
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