研究課題/領域番号 |
21K00812
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研究機関 | 大東文化大学 |
研究代表者 |
山口 みどり 大東文化大学, 社会学部, 教授 (00384694)
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研究分担者 |
後藤 絵美 東京外国語大学, アジア・アフリカ言語文化研究所, 助教 (10633050)
高 媛 駒澤大学, グローバル・メディア・スタディーズ学部, 教授 (20453566)
野中 葉 慶應義塾大学, 総合政策学部(藤沢), 准教授 (70648691)
李 美淑 立教大学, グローバル・リベラルアーツ・プログラム運営センター, 助教 (40767711)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | ジェンダー / 憧れ / 感情史 / アジア / 新しい女性 / 帝国 / 移動 / グローバル史 |
研究実績の概要 |
本研究は先行科研「「新しい女性」とアジアの近代――情動にみる思想・価値観の形成過程の比較研究」(課題番号16K02003)を発展させ、新しい女性をめぐる「憧れ」に注目してアジアの近代を読み解こうとする感情史研究である。研究初年度に当たる2021年度は、準備中の論文集『憧れのパラドックス――〈新しい女性〉とアジアをめぐる感情史(仮題)』刊行のための作業が中心であった。ZOOM研究会を6月6日、7月18日、8月3日、2月12日、3月6日の5度開催し、研究協力者の中野嘉子香港大学准教授および宇野陽子氏も加わって、各担当章のすり合わせを行った。 山口は19世紀から20世紀初頭のイギリス人女性宣教師を扱った担当章のほか、序章の執筆および海外研究協力者であるパメラ・コックス氏(エセックス大学)とルーシー・デラップ氏(ケンブリッジ大学)の論文の翻(監)訳作業を進めた。高は宝塚少女歌劇のレビュー『満洲より北支へ』(1938年)、後藤は英占領下エジプトでの「ヴェールを外す」行動に見られる女性たちを新たにテーマとして原稿を書き上げた。野中はオランダ領東インド初の現地語女性誌、李は朝鮮の植民地化初期における在日本朝鮮人女子留学生の雑誌を題材とした論考をバージョンアップした。 2021年度の課題は「憧れの「伝染」」であり、上記論文集のほかに、山口は19世紀の少女小説家C・ヤングと彼女に憧れるファンに注目した研究に着手した。また李は韓国の民主化運動と連帯した画家富山妙子についての研究を、野中はインドネシアにおける宗教と衣服や化粧品についての研究を進めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2021年度は、2022年度中の論文集刊行に向け、各自の担当章の完成とすり合わせを行った。目標としていた科研研究成果公開促進費への応募は、締め切りが早まったこともあり間に合わなかったが、2021年度内に原稿が出揃い、2022年度中の出版の目途が立った。 2021年度の課題は「憧れの「伝染」」であったが、植民地支配下にある人びとの「憧れ」をどのように読み解くかなど、2022年度の課題である「憧れの「潜伏」」に関連した議論も活発化した。
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今後の研究の推進方策 |
2022年度は論文集刊行を達成目標としている。編集作業を行いつつ、2022年度の課題である「憧れの「潜伏」」面の分析に各自力を注ぐ。2023年度には、東洋における「新しい女性」像の西洋への影響、フェミニズムとの関係を比較考察する計画である。論文集の刊行を前提として西洋史やジェンダー史関係の研究会での報告を検討している。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍により、2021年度には海外での資料収集や学会出席ができなかった。このため、次年度以降に資料収集等を延期することとする。
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