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2021 年度 実施状況報告書

民俗分布論の歴史方法論的開拓と民俗地図研究の実践

研究課題

研究課題/領域番号 21K00816
研究機関神奈川大学

研究代表者

安室 知  神奈川大学, 国際日本学部, 教授 (60220159)

研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2025-03-31
キーワード民俗分布 / 民俗地図 / 年取魚 / アゼマメ
研究実績の概要

本研究の目的は、既存の民俗誌データを活用して民俗地図を作成し、かつそれを歴史方法論として提起することにある。そのため、研究遂行に不可欠な資料として、これまでの自治体史編纂に関わって作成された民俗誌データの収集をおこなった。第1年目となる2021年度は、まずは北陸地方と東北地方において資料収集を中心としたフィールドワークをおこなうこととし、民俗誌データの中でも全国に共通して記される傾向にある稲作習俗と正月行事に絞ってデータ収集をおこなった。ただし、北陸地方・東北地方ともコロナ禍のため十分なフィールドワークをおこなうことができず、実施できたのは富山県・新潟県・秋田県という日本海岸の3県にとどまった。
上記のフィールドワークの結果として、高度経済成長期以前においては稲作習俗としてアゼマメ(畦豆)が中山間地から平野部にかけて広くおこなわれていたこと、またそうした中にあって日本海岸に多く分布する潟湖周辺の低湿稲作地においてはアゼマメがほとんどおこなわれていなかったことが分布上の特徴として明らかとなった。さらに、高度経済成長期を境に土地改良事業の伸展や農薬の利用が普及したことで、ほとんどすべての地域においてアゼマメの習俗が姿を消していることも明らかとなった。また、正月行事のうち年取魚の習俗については、かつて多様な魚類が用いられていたこと、およびそのほとんどは海産魚であったことが分かった。また、とくに中部地方においてブリを用いるところとサケを用いるところとが明瞭に分かれることが分布上の特徴として明らかとなった。そうしたサケとブリの年取魚としての分布地が分かれる要因として、海岸近くにおいてはサケとブリの漁獲量の違い、内陸地にあっては交通や流通のあり方が大きく作用していることも明らかとなった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

4: 遅れている

理由

当初計画していた県立図書館等での民俗誌調査がコロナ禍により大きく制限された。そのため、2021年度は中部地方と東北地方にフィールドを絞ったが、遂行できたのは新潟県・富山県・秋田県の3県にとどまった。

今後の研究の推進方策

引き続き、2022年度以降も各地の県立図書館等において民俗誌調査を進める。徐々に県立図書館の利用制限が緩和されてきているため、遅れを取り戻すべくフィールドワークに労力を注ぐこととする。また、全国的な調査に併行して、とくに民俗誌データが多く存在するいくつかの県(例、長野県)に焦点を絞り、インテンシブな調査をおこなう。

次年度使用額が生じた理由

コロナ禍により調査先である県立図書館等の利用が大きく制限され、十分なフィールドワークがおこなえなかったため旅費の一部が次年度使用分として残った。そのため2022年度は、前年度におこなうことのできなかった県立図書館における調査を今年度に加えておこなうこととする。

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公開日: 2022-12-28  

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