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2022 年度 実施状況報告書

民俗分布論の歴史方法論的開拓と民俗地図研究の実践

研究課題

研究課題/領域番号 21K00816
研究機関神奈川大学

研究代表者

安室 知  神奈川大学, 国際日本学部, 教授 (60220159)

研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2025-03-31
キーワード民俗分布 / 民俗地図 / 長野県史 / 餅なし正月
研究実績の概要

研究の目的は、既存の民俗誌データを活用して民俗地図を作成し、かつそれを歴史方法論として提起することにある。そのため、研究遂行に不可欠な資料として、これまで自治体史編纂に関わって作成された民俗誌データについて情報収集をおこなった。第2年目となる2022年度は、過去において自治体史編纂に伴い多くの民俗誌が作成されたと思われる中部地方・関東地方・東海地方において資料収集を中心としたフィールドワークをおこなった。また、民俗誌データの中でも共通して記される傾向にある稲作習俗に絞ってデータの分析をおこなった。ただし、中部地方・関東地方・東海地方ともいまだコロナ禍にあり十分なフィールドワークをおこなうことができず、実施できたのは長野県・群馬県・静岡県の3県にとどまった。
上記のフィールドワークの結果として、長野県においては長野県史編纂に伴い県内430地点(集落)において統一的な民俗誌調査がおこなわれ、そのデータが県により保存されていることが判明した。そこで県の機関に出向き、民俗誌データについて写真によりすべて記録した。撮影した写真の数は1万4千点に及ぶ。その解析は次年度以降の課題となる。
また、長野県におけるインテンシブな調査と並行して、全国的な視点に立ち正月儀礼の一つである「餅なし正月」伝承について民俗地図を作成しその分析をおこなった。その結果、「餅なし正月」伝承はそれまで言われているように畑作文化の残存などではなく、あくまで「餅正月」を基盤にして成立する伝承であり、「餅正月」の一類型に過ぎないことが分布の上からも明らかになった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

2021年度に引き続き、当初計画していた県立図書館等での調査がコロナ禍により大きく制限された。そのため、2022年度は中部地方・関東地方・東海地方にフィールドを絞ったが、遂行できたのは長野県・群馬県・静岡県の3県にとどまった。
ただし、長野県においては長野県史編纂に関連して作成された430地点に及ぶ民俗誌データを確認し、それを記録化したことで、県単位ではあるが今後はインテンシブな分析が可能となった点は、研究の遅れを取り戻す上で有意義であった。

今後の研究の推進方策

長野県において統一的に作成された430地点の民俗誌データをすべて記録化したことで、今後はGISなどを用いた精密な分析が可能となる。ただし、その具体的な手法の開発は今後の課題となる。

次年度使用額が生じた理由

コロナ禍により県立図書館等での調査が計画通りおこなうことができなかったため、旅費及び調査データの整理のための人件費に繰越金が発生した。未実施の地域における調査を積極的に進めるとともに、調査資料の整理を加速する。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2022

すべて 学会発表 (1件) (うち招待講演 1件)

  • [学会発表] 民俗地図の可能性-「餅なし正月」から読む民俗的基盤-2022

    • 著者名/発表者名
      安室知
    • 学会等名
      長野県民俗の会総会
    • 招待講演

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公開日: 2023-12-25  

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