研究課題/領域番号 |
21K00823
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研究機関 | 久留米工業高等専門学校 |
研究代表者 |
岡本 和也 久留米工業高等専門学校, 一般科目(文科系), 准教授 (30455175)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | ジュチ・ウルス / マムルーク朝 / ジェノヴァ / ヴェネツィア / 東地中海 |
研究実績の概要 |
ジュチ・ウルスとマムルーク朝の外交関係に関するZakirovの先行研究を活用し、特に14世紀後半における外交関係の展開を整理した。また、Broadbridge, Favereau, Reuven Amitai らによる近年の先行研究を検証している。 本研究ではジャニベク(1342/3-57)以降の14世紀後半を研究対象としている。その期間においては、ジャニベクの在位15年間には、以前と比べて使節がやり取りされている回数は少ないが、ジャニベクがアゼルバイジャンを征服したことをマムルーク朝に伝えるなど、ジュチ・ウルスとマムルーク朝の交流は続いていたと考えられる。 そして、ジュチ・ウルスの混乱後のトクタミシュ(1377/78-1406)の在位期間の中でも、1384-1394年の11年間は使節交換が活発に行われており、ジュチ・ウルス混乱期に20年ほど途絶えていた交流が復活している。 このような先行研究の整理の結果から、14世紀後半をジャニベク期とトクタミシュ期の二つの期間に分け、その二つの期間の使節派遣の意図はなんだったのか、また、使節派遣が途絶えていた二つの期間の間の20年間はどうなっていたのか、という問題意識をもって、マムルーク朝時代のal-QalqashandiやIbn Taghribirdiらによって記された史料の読解を進めている。 そして、これらの作業に基づき、14世紀後半におけるジュチ・ウルスとマムルーク朝の外交関係史に関する論文の執筆準備を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
先行研究の整理はほぼ完了しているが、先行研究の整理と史料の選定と入手に時間を要したため、研究がやや遅れている。現在はマムルーク朝時代のal-QalqashandiやIbn Taghribirdiなど14世紀後半のジュチ・ウルスとマムルーク朝の外交史を構築するうえで中心となる史料の読解を進めている。
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今後の研究の推進方策 |
現在行っている研究を継続し、今年度中には14世紀後半におけるジュチ・ウルスとマムルーク朝の外交関係史に関する論文を執筆し、投稿する予定である。 その投稿論文とこれまでの研究を活用し、13世紀後半から14世紀後半におけるジュチ・ウルスとマムルーク朝の外交関係史において、ジュチ・ウルスの支配者と血縁関係にある人物が、周辺諸国家の支配者と血縁関係にある人物と結んでいた婚姻関係が、この地域を結び付ける要因として、どのような役割を果たしていたのかを検討する。 また、12 通の命令書とアラビア語史料、およびイタリア商人が作成した公証人文書を活用し、東地中海地域圏において銀がどのように流通していたのかを明らかにし、この地域の経済活動がどのように結びついていたのかを明らかにする。ジュチ・ウルスが奴隷貿易に税を課すことで銀の流通を支配していたと考えられるが、その詳細は先行研究では検討されていない。
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次年度使用額が生じた理由 |
文献価格の変動が少しあり、少額残金が生じたが、請求した助成金と合わせて文献購入費として使用する。
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