研究課題
基盤研究(C)
象徴天皇制とメディアの関係性は、時には協力しつつ、時には緊張関係を孕むものであった。週刊誌やテレビなどの新しいメディアと象徴天皇制は親和性を有していた。皇太子や皇太子妃、その子どもたちがそうしたメディアに登場し、人々からの支持を得ていく。平成の時代はまさにその最高潮にあった。記者たちも積極的に皇室について伝え、皇室や宮内庁もそれを望んだ。基本的には協力関係が構築されたものの、一方で、時にお互いの利害が対立することもあった。
日本近現代史
本研究によって、現在の象徴天皇制がいかに日本戦後史のなかで形成されてきたものなのかを理解することができる。今後の象徴天皇制のあり方を考える手掛かりになるとともに、象徴天皇制の現在を知る際の参照軸をも提示したと考える。また、本研究が対象とした1970年代以降に関する研究は、戦後史研究の先鞭をつけたものであり、今後、歴史学が本格的に昭和後半から平成を研究する際に、参照されるものになったと思われる。さらに映像を歴史学の対象とする点でも、本研究の社会的意義は大きい。