本研究は、中世出雲の山間領主であった赤穴氏の関係史料を手がかりに、中世後期の権力秩序の中における武家領主の位置づけに留意しながら、彼らの存在形態と行動様式の特質について考察を加えた。主たる研究対象は、出雲の赤穴氏およびその惣領家である石見の佐波氏であり、前者は守護京極氏の被官人として、後者は室町幕府の奉公衆として、変動する社会状況にどう対応し、生き残りを図ったかを究明した。 考察を深めるために、下野茂木氏・備後因島村上氏・安芸竹原小早川氏・石見益田氏・筑前麻生氏についても史料を収集し、赤穴氏・佐波氏との比較対照を試みた。また、大内氏分国における段銭収取システムと知行制についても分析を行った。
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